彼氏が乙女心を知らないのだが【松田陣平】

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side 佐藤美和子




これで良かった＿＿＿




3年前、自分にそう言い聞かせ、高木くんと出会って、やっと心の底からそう思えるようになった




それはまだ私が松田くんの教育係だった頃
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通報を受けた事件を全て済ませ、私の運転で署に戻る。助手席の松田くんは煙草を吸いながら、何やらスマホを触っていた。




美和子「 ずっと煙草吸ってない？身体に悪いわよ 」




陣平「 あの部署の部屋じゃ吸えねぇだろ 」




美和子「 程々にしなさいよ？ 」




陣平「 お前は俺の母親かよ 」




にしても……




美和子「 本当にメール打つの速いわね 」




陣平「 あぁ、人より指先が器用なんでな 」




美和子「 もしかして、彼女かしら？」




冗談半分だった＿＿＿




陣平「 まぁな 」




鳩が豆鉄砲を喰らうってこういう事なんだって、この時初めて身に染みて感じた




そして音もなく、弾けた赤い実を失った




陣平「クソっ、あの女……既読無視しやがる…」




この松田くんに既読無視できるなんて、どんな強い女の人なのかしら……




美和子「 怒らせるような事したの？ 」




陣平「 喧嘩してんだよ 」




美和子「 なら謝ればいいじゃない 」




なんて言うが、内心その喧嘩でそのまま別れてしまえばいいのに、なんて思ってしまうのが本当に嫌になる




陣平「 俺は悪くねぇよ 」




美和子「 喧嘩は長引かせると、ろくなことないわよ 」




いいや、これで良かったの。逆にこの気持ちが大きくなる前に知れて良かった。




手遅れになる前に知れて、本当に良かった……本当に…




これで良かった＿＿＿

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作者のりーこです！


ここから少し過去のお話が続きます！松田刑事、高橋刑事、佐藤刑事の3人の気持ちが交差していく様子をぜひ見届けてください！

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