彼氏が乙女心を知らないのだが【松田陣平】

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side 松田陣平




Aはよく無理をする




絶対大丈夫じゃないくせに、大丈夫と言って、そのくせ他人の心配をして、自分の事のように安心する




無理して欲しくもない反面、そういうところに惚れたんだと思う




だが、やっぱ無理してる彼女の姿を見るのは、あまり好きでは無い




それに7年も付き合っていると、否が応でも無理してるなっていうのが分かっちまう




現に、今目に入ったAは無理をしている




自販機前で、ブラックコーヒーを飲む彼女。彼女が敢えて苦手なブラックを無理して飲む時は、大体帰りが遅くなる日だ。




陣平「 お子ちゃまのお前にはブラックは早ぇだろ 」




『 陣平…！ 』




振り返って俺を見た瞬間、驚いた顔をして一歩下がる




『 克服したから飲めるし！ 』




Aも飲んでんなら、俺も一緒に飲むか、と思い彼女と同じやつを買う。




陣平「 ……今日、遅くなるのか？」




『 え？ 』




陣平「 ただの興味本意だ 」




なんて言葉しか出ない自分に腹が立つ




『 うん、色々やる事あって 』




陣平「 そうか 」




俺はここで “ 無理すんなよ ” なんて言わない。言ったところで、彼女は無理をするからだ




根っこの部分で、自分を犠牲にする奴で、俺がどうこう言っても変わらないから




だから変わらない彼女のために、俺は少しでも心の拠り所になれるようにしている




こんな事、恥ずかしくてぜってぇAには言えねぇけど




とりあえず、今日Aが終わるまで待ってるか

｀．14→←｀．12

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