愛及屋烏の子

9__萩原研二side ページ11

その日もいつも通りだった。






いつも通りお隣さんにAちゃんを迎えに行き、いつも通りお話をしながら公園に向かった。
いつも通りでないことと言えばいつの間にか陣平ちゃんがAちゃんと会って仲良くなっていたことぐらい。陣平ちゃんだから許せたけど他の子だったら許せなかったなぁ…
そんなことを思いながら鬼ごっこをするべくAちゃんから手を離した。





突然それは起こった。





いきなり男がやってきてAちゃんを攫ったのだ。
びっくりして固まってしまったが早く助けなければと思い走って追いかけた。けれども大人と子どもの差は大きい。直ぐに離されてしまった。





どうしよう、Aちゃんが攫われてしまった。
俺の、おれの可愛い子が…！





グルグルと頭の中が気持ち悪いくらい回る中路地裏の方に花が落ちているのが見えた。





あれはAちゃんが公園に行く道中に取っていた花達だ。






いつもなら怖くて近寄らないがAちゃんのためだからか怖くなかった。花を辿るように奥へ進めば男の声が聞こえた。止まって何かを話してるようだったからその場にあった石を男に向け投げた。






「Aちゃんを返せよ！！」





そう叫んで目の前に行けば焦った顔をしたAちゃんと目が合った。






今ならなんでも出来る。Aちゃんの為だから、死んでもこの子は逃がすんだ。
その時まではそう思っていたが予想外なことが起きた。






男は銃を持っていたのだ。







おもちゃでしか見てこなかったからさすがに怖くなった。
男は狂ったように笑いながら俺に銃を向け引き金を引こうとした。








「研二くん！！！！」








ああ、俺はここで死ぬのか。
Aちゃんを守ることも出来ずに。






,






「＿＿＿＿」











目を瞑り痛みを覚悟していたがいくら待っても何も感じなかった。
ゆっくりと目を開けると目の前で止まった銃弾が浮いていた。

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