脆くて甘くて苦くて【IV】 (ページ19)

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一瞬シーンとなって、まあふっかには聞こえてないかと思いながらふっかに抱きしめられていると大きなため息をついたふっかがさっきよりも更にぎゅうぎゅうに抱きしめてくる

……え、なに！？

「 …ふっか？」

深澤「 ……はぁ、まじ、なんなの、ほんと」

「え、なになに、痛い痛い！」

ぎゅうぎゅうに抱きしめられすぎてもはや痛いくらいだと背中を叩けば少しだけ緩められる腕。

「どしたの？」

深澤「 ……なんで言うだけ言ってそんな余裕なの、お前は」

「ん？」

ふっかの言ってる意味が理解できなくて身を捩り上を向くとパチッと合うふっかの目。

……がしかし、すぐに逸らされた

え！？なんで！？さっきと真逆じゃん、

「え、なにふっか、？」

深澤「 ……かっこいい、とか急に言うなよ」

ぼそっと聞こえた声は確かにそう言っていて、
あ、……聞こえてたんだ

深澤「 ……まじでずるい女、」

ふっかの方が何倍もずるいと一言言い返してやろうと思えばぷにっ、と重ねられた唇によって声は出なくて、代わりに背中に回っていた手が後頭部に移動されて離してくれない。

「 ……ん、ふっ、か」

深澤「 …はぁ、もう出ていきたくなくなるから朝は我慢する気だったのに」

Aがずるすぎるせいだわ、わら

なんて笑っておでこ、頬、目元なんやら色々なところにちゅ、ちゅ、と唇が落ちてきてくすぐったい

「ふっかくすぐったい、」

深澤「かぁいいのがわるい」

最後にちゅ、と唇を塞がれてぎゅっ、と抱きしめられては離される身体

深澤「うん、これくらいスパッと離れねーと今日Aと離れたく無くなる」

急にふっかが布団から出ていったせいで寒いんだけどな、ふっか

深澤「 A～～顔洗いにおいで～～」

洗面所からそんな声が聞こえて2人で鏡の前に立つとなんだか同棲してるみたいで少しうれしい

深澤「んは、顔ゆるゆるじゃん。わら」

「ふっかだってゆるゆる」

深澤「なんか同棲してるみたいだな～って」

「 ……わたしも思ってた」

深澤「さすがだわ、俺ら」

鏡の向こうでドヤ顔で笑うふっかにつられて笑って、こんなしあわせな朝いつぶりだろう

「ふっか」

深澤「ん？」

「すきだよ」

それだけ伝えて硬直してるふっかから逃げるように洗面所から離れる

ねえふっか、ほんとにすきだよ

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