なにもない日のFlower kento.N

・ ページ15

fuma side

中島が倒れたあの日からAはどんどん様子がおかしくなっていった


『大丈夫か？なんかあった？』


あ うん、大丈夫。ごめん


何度この会話をしたか定かではないが1日に5回くらい俺が聞いてはAはごめんで済ませるというのが多かった


"なんかあった？"

そう聞くのは怖くなった


本当はなんかあったことなんて分かりきってる


『中島が倒れた』


どれほど驚いたかどれほど悲しんだか

それは知らないけど


"なら『中島なら大丈夫』そう声をかければいいじゃないか"


そんなこと言えたならもうとっくに言ってるだろ


Aが中島のことを考えて話してる

これを見るのが怖くて本当は知ってることをなにも知らないかのように話す自分が嫌いだ



今までずっと一緒にいた俺と、


転校してきた王子様の君。




こんなのAがどっちを選ぶかなんて最初から分かってた


でもほんの少しでもいいからさ夢みさせてよ


ちょっとは希望抱かせてよ



俺には少しも興味はないの？


昔っから変わらない俺に飽きちゃった？



なら変えてやる


君が俺に振り向いてくれるなら



それくらいどうってことない



待ってろ お前を絶対俺のものにしてやるから




そう決意した俺は目を覚ました中島に電話をした




健 もしもし、菊池？


『体調どう？』


健 全然大丈夫!元気！


『そっか、あのさ話があるんだけど』


健 …Aのこと？
　 菊池Aのこと好きなんだよね？


『え、おう、まぁ、でもお前もじゃねーの？』


健 …俺？好きだよ。大好き。
　 もう言葉に表せないくらい好き。

　 でもね俺のことは気にしないで？
　 俺なんかより菊池のほうが幸せにできる。



『は？なんで好きなら正々堂々戦おうぜ』



健 菊池ごめん、俺その勝負はうけない


『お前の好きはそんな簡単に終わらせれるものだったのかよ!呆れた』


健 ……そ、だよね。
　 でも俺、Aを幸せにできない
　 もう、分かりきってることだから
　 これ以上Aを悲しませたくないから


『なんだよそれ、、』


健 ごめｯﾊｱｹﾎｯちょ、切るね。ｸﾞﾌｯｹﾞﾎｯ



『おい!中島!?』



ﾌﾞﾂｯ



なんだよあいつ


でもそれならAは俺がもらう


絶対幸せにしてみせる





このときの俺は自分のことだけしか考えていなかった




君の声には芯がなくて


まるで光を失ったかのようだった

＊talk＊→←you without light

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す