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二六夜 ページ28

「一度愛を知ったお前が生き甲斐にしているものは、何だ」




信玄の問いに対し、痛いほどの沈黙が流れる


そして






「ふっ………愛など、つまらん」








返ってきたのは謙信の乾いた笑みだった。




「俺は戦に生きて、死ぬ。
女に構う暇などない。



俺は越後の民を守るためだけに、生を受けた。

俺はこの命果てるまで、その使命を全うするだけだ」





まるで己の人生を諦めているかのように呟き
謙信はその場を去った。








「どうやら、龍が天女から刺された槍は
思ったよりも深く刺さっているようだね」





信玄は少し寂しそうに呟くと、佐助の方に身を直し、






「佐助、どう言うつもりで謙信が君をこの城に置いているのかは知らないが


得体の知れない君をわざわざ城におき、隠密として育て上げようと謙信が計らうとは
君は極めて稀な存在だ。

感情を失った龍は、時に何をするか分からない。

どうか彼の感情が戻るその日まで、君が支えになってやってほしい」



信玄の目は、普段見せる甘い表情からは想像できないほど真剣なもので
その姿に幸村は引き込まれていた。





「謙信様は俺に居場所を与えてくれました。

俺にとっても謙信様は命の恩人です。

あの方の無茶振りには時々困ることもあるけど、任せてください。

あの人の心は、殺させない。」





"安心したよ"と言うように信玄は淡く笑みを浮かべ






「さあ幸、用事も終わりだ。

護衛もご苦労、甲斐へ帰ろうか」





「えっ!?ちょ、あんた本当にこれだけのためにわざわざ越後に来たのかよ!」






すたすたと歩いていく信玄を幸村は急いで追いかけた。


不意に、信玄が振り向く。








「どうか俺の"好敵手"を頼んだよ。

あいつのいない乱世なんて、面白みのかけらもないからね」





そう言うと、佐助に向かってウィンクし
2人は甲斐の国へ帰って行った。









(武田信玄って…あんなキザな男だったのか……)









佐助が、学生時代に習った人柄とギャップを感じたのは内緒の話

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設定タグ:イケメン戦国 , 恋愛 , 上杉謙信   
作品ジャンル:恋愛
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ねね(プロフ) - haruveringさん» イケレボ書くならまずこの2人!って決めてたのがヨナとルカだったんです!関係性が良いですよね(*^^*)頑張ります!ありがとうございます! (2017年5月27日 12時) (レス) id: c4278e59fb (このIDを非表示/違反報告)
haruvering(プロフ) - 新作ありがとうございます!なんですかあの私得な設定(*´ー`*)とても幸せです!体調にお気をつけになって更新頑張ってください! (2017年5月26日 23時) (レス) id: 064598f1ab (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮心音(プロフ) - ねねさん» いえいえ!最近オリジナルフラグを二次創作なのに外してない作品が多いので、できたら声かけお願いします(^o^)他のユーザーさんもやってますし(^o^) (2017年5月25日 22時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
ねね(プロフ) - 雨ノ宮心音さん» ご足労かけます( ; ; ) (2017年5月25日 22時) (レス) id: c4278e59fb (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮心音(プロフ) - 二次創作なのでオリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年5月25日 21時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねね | 作成日時:2017年3月8日 20時

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