価値なんて ページ20
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「虎杖は戻ってくる。その結果自分が死んでもな。そういう奴だ」
伏黒は想いに浸るように言葉を告げた。
「買い被り過ぎだな。コイツは他の人間より多少頑丈で鈍いだけだ。先刻もな、今際の際で脅えに脅え、ゴチャゴチャと御託を並べていたぞ。断言する。奴に自死する度胸はない」
そう強気に宿儺は言うが正論だろう。伏黒はそんな言葉に耳を傾けつつ冷静に勝つ方法を考えていた。その考えた末伏黒は式神を呼び出し戦闘の合図をした。
「折角外に出たんだ、広く使おう」
伏黒は呼び出した鵺を扱い自身も宿儺に向かって走っていく。
「面白い、式神使いのくせに術師本人が向かってくるか」
そう興味深そうに呟き伏黒は鵺と共闘しながら宿儺に攻撃をしている。だが宿儺は伏黒の攻撃を一撃も受けておらず余裕の笑みで躱している。伏黒は次に大蛇という式神を出し宿儺を咥え空に突き上げられる。
「畳み掛けろ！」
その合図を聞き鵺は宿儺へと突進した。だがそんな攻撃も効かなかった。宿儺は口角を上げ大蛇をバラバラに崩していった。
「言ったろう広く使おう」
宿儺は伏黒の服の裾を掴み上空へと投げ飛ばした。伏黒はなんとか耐えるが宿儺はお構い無しに伏黒の腹部へと蹴りを入れた。蹴り飛ばされた伏黒は建物に衝突し鵺が飛ばされた伏黒を掴む。
「いい術式だ！」
最後に宿儺は両手を鵺ごと建物へ叩きつけた。伏黒はもう限界を超えている。伏黒は考えたら壊される前に鵺を解いた方が良いという結論に至り解いた。
「なるほど、お前の式神影を媒体にしているのか」
「ならなんだ」
「ふむ.......」
そう伏黒が答えると宿儺は手を顎に置き、考える仕草をする。
「分からんな。お前あの時何故逃げた？フッ宝の持ち腐れだな」
「ん？」
「まあいい」
「どのみちその程度では、ここは治さんぞ」
宿儺は見え透いたように口角を上げ、先程まで虎杖の心臓があった所を親指で指す。伏黒も観念したようにフッと笑い残りの気力を使い立ち上がった。
「つまらんことに命を懸けたな。この小僧にそれほどの価値はないというのに」
伏黒は薄く微笑んだまま長い思想に浸った。だが次の瞬間＿＿＿
バンッ
「...悠仁君に価値があるかどうかを決めるのは貴方じゃない！」
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作者名：累 | 作成日時：2022年11月3日 20時
