呪胎戴天 3 ページ11
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扉が跡形も無く消えた様子に虎杖、釘崎は更に焦り出し、遂に変な踊りまでしだした。そんな2人とは違いAはやられたねと言った顔で正得領域を見渡している。
「安心しろ、此奴が出入口の匂いを覚えてる」
「ワフっ」
この場には合わないような鳴き声でAの元へ近寄った。当然犬好きのAはそっと頭を撫でた。
「わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ」
「グッボーイ!ジャーキーよ!ありったけのジャーキーを持ってきてー!」
「式神って食事必要なの?」
「緊張感!」
虎杖、釘崎、Aは玉犬をひたすら褒め、そんな姿に伏黒はツッコミのように叫ぶが虎杖は目を細め笑いながら言った。
「やっぱ頼りになるな伏黒は。お前のおかげで人が助かるし俺も助けられる」
「.......進もう」
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「惨い.......」
「3人.......でいいんだよな」
進んだ先には下半身が無い遺体、ぐちゃぐちゃされた2つの遺体があった。その様子にAは、荒く息をしていた。ただそうしていたのもつかぬ間、いつも通りになり遺体に近づいた。
「この遺体持って帰る。」
「え」
「あの人の子供だ」
「顔はそんなにやられてない」
「でもっ」
「私も悠仁君に賛成だよ。遺体も無しに"死にました"なんて納得出来ないでしょ?」
そう言うと伏黒が虎杖の元へ行きそのまま服を引っ張った。
「後2人の生死を確認しなきゃならん。その遺体は置いてけ」
「振り返れば来た道がなくなってる。後で戻る余裕はねぇだろ」
「後にしろじゃねぇ。置いてけっつったんだ。ただでさえ助ける気のない人間を死体になってまで救う気は俺にはない。」
「どういう意味だ」
伏黒は冷酷な言葉を放つ。その様子にイラッときたのか虎杖は伏黒の胸ぐら掴んで睨み付ける。ピリピリとした空気に焦ったAは
「一寸二人共!喧嘩なんてしてる場合では無いでしょ?」
「ならお前は死体になってでも助けるのか?それはリコリスだからか?ここは少年院だぞ。呪術師には現場のあらゆる情報が事前に開示される。岡崎正其奴は無免許運転で下校中の女児をはねてる。2度目の無免許運転でだ。Aお前も資料見ただろ。」
「っ」
伏黒の言葉は残酷で一つ一つ理屈があった。そんな様子にAは為す術なく黙っていた。そして伏黒は虎杖の方に目を向けまた残酷な言葉を口にした。
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作者名:累 | 作成日時:2022年11月3日 20時