目撃 ページ24
駅前で、ジスくんを見た。厳密に言えば、後ろ姿だけど。
ぽん、と彼の肩を叩いて名前を呼ぶ。
「ジスく」
ん、と言い終える前に、ジスくんのポケットから、スマホより少し小さいくらいの、四角くてブルーの色をした箱が落ちた。それはタバコの箱だった。
他の人のかな？とか誰かの忘れ物かな？って一瞬思ったけど、ジスくんの気まずそうな表情で急いでその箱を拾う彼を見て、彼自身のものだと理解した。
「…見た？」
いつもより1ターブくらい低い声でそう尋ねる彼に一瞬だけ怯んだが、コクリと1回頭を縦に振ると、ジスくんは大きくため息をついた。
「引いた？」
今度はゆっくり横に頭を振る。
するとジスくんは眉をひそめてじっと私の目を見る。本当か？と疑うような眼差し。
「ほ、本当に！引いてないよ…びっくりはした、けど…。」
そう言えば、ジスくんは少しだけホッとしたような安堵の表情を浮かべる。
考えてみれば、彼がこんなに慌てる様子なんて見たことなくて、なんだか新鮮だ。
「ごめん、あの、この事は、」
「あ、うん！大丈夫。言わないよ。」
「良かった…ありがとう、ごめんね」
「……っ、でも、意外だね…！ジスくんもそういうの、吸うんだ。」
「うん…まあ」
「ま、まあ！人間色々あるよね！私もさ、むしゃくしゃすると駅前のケーキ屋でシュークリーム5個も買うんだ。それをね、全部自分で食べちゃうんだよ」
そう言うと、ジスくんはぼうっとわたしの方を見つめる。2人の間にはしーん、と沈黙が走る。
自分は何も悪いことをしていないのに、なんだかした気分になる。どうしよう、どのようにして、この空気を和らげよう。
「あ、ごめんね、…それはちょっと違ったよね」
ふふ、と彼の口元が緩んだ。あ、笑った。
どうやら怒っているわけではないみたいで、安心した。
「ううん、こちらこそ気を遣わせちゃってごめんね」
「あ、ううん！！……えっと、あ！本当に私、言わないよ！…あと、余計なお世話かもだけどあの、それは…えっと、体によくない？から、あんまり控えた方が良いんじゃないかなあ、みたいな…」
「うん、そうだよね。……うん、そう！捨てよう！Aちゃん、俺今これ捨てるから、見ててくれる？」
「え？！あ、うん。私で良かったら…」
ガコン、と音がして中身の入ったタバコの箱とライターがゴミ箱に入った。私が見てしまったせいでこうなってしまったのに、申し訳なく思う。これは、良いことなのかどうなのか。
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理衣(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！ (2022年6月20日 23時) (
レス) @page32 id: 82f31babb9 (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - 続き待ってます！とても楽しみにしてますので更新頑張ってください！ (2022年4月19日 4時) (レス) @page31 id: 3063287e0d (このIDを非表示/違反報告)
uyu(プロフ) - からのポテチさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！！頑張ります！ (2019年8月3日 20時) (レス) id: 20c193e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
からのポテチ - うわぁぁぁ、夢主ちゃん悲しいぐらいに優しいよぅ。(泣)ジウンちゃんもなんかありそうやし、、、 めっちゃ面白いです！更新頑張って下さい！ (2019年8月2日 0時) (レス) id: c13b41d6ee (このIDを非表示/違反報告)
uyu(プロフ) - いくみんさん» お待たせしてしまってすみません！一応ハッピーエンドで終わる予定にしてるので安心してください！ (2019年7月31日 20時) (レス) id: 20c193e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：uyu | 作成日時：2018年3月3日 19時
