雨雫 ページ14
帰ろうか、と方向転換をしようとしたところに、しゃりしゃり、とビニールが擦れる音がして、後ろに誰かいたことに気づく。
げ、誰かに見られたのか、と後ろを向けばゴミ箱を片手に気まずそうな顔で突っ立っているジスくんがいた。
あの日から、今日までジスくんとは一度も話してない。というか一度も会ってない。
恐らく向こうも避けていたんだろうけど、無理に話しかけたって余計嫌がられるだろうと思った私もまた、彼の背中を見つけても話しかけることはしなかった。
久しぶりに会うジスくんが私の告白現場の後だなんて、気まずさと恥ずかしさが混ざって何かが喉まで上がってきそうだった。
「…えっと、盗み聞きしてたわけじゃなくて、ゴミ、捨てようとしてただけだから。」
どうやら彼はたまたまこの告白現場に居合わせ、ゴミを焼却炉に入れる事が出来なかったみたいだ。慌てて焼却炉の前から退いた。
「ごめん、邪魔だったよね。」
「あ、いや、大丈夫。……それより、告白されたんだね？」
私の手元にある手紙を見て一言。口角をうっすら上げて、少し嘲笑うような表情をする彼に、まるで、お前でも告白されるんだな、とバカにされてるような気がしてなんだか惨めになる。
「まぁ一応…。」
「まさかOKしたの？」
「ううん、よく知らないし。」
「へー。じゃあよく知ってたらOKしてわけ？」
この前といい今日といい、何故ジスくんは私に対してこんなに冷たいというか、刺々しいのか。本当に、私が何をしたというのだ。
きっと彼に聞いたとしても、また、別にの一言で片付けられてしまうんだろうな、と考えて少し悲しくなる。
空はどんよりと重苦しい雨雲が覆っていて、風がびゅうびゅうと強く吹く。まるで今の私たちみたいだ。
少しむっとなって「ジスくんに関係ないよね？」なんて可愛くない事言ってしまう。
すると彼はびっくりしたような、傷付いたような顔で呆然と私を見た。
教室に戻った時には既に遅く、嗚呼なんてこと言っちゃったんだろうと深く後悔した。
ジスくんと仲良くなれて喜んでたのは私だけだったみたいだ。彼にとっては迷惑だったのかもしれない。
ぽた、と何処かから雫が落ちて来て、私のスカートに小さなシミを作った。一瞬、雨漏り？となんて馬鹿なことを考えるがここは室内、そんなことはあり得ない。
「…あ。」
そっと頬を触って気がつく。スカートに落ちた雫は、私の瞼からこぼれ落ちたものだった。
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理衣(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！ (2022年6月20日 23時) (
レス) @page32 id: 82f31babb9 (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - 続き待ってます！とても楽しみにしてますので更新頑張ってください！ (2022年4月19日 4時) (レス) @page31 id: 3063287e0d (このIDを非表示/違反報告)
uyu(プロフ) - からのポテチさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！！頑張ります！ (2019年8月3日 20時) (レス) id: 20c193e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
からのポテチ - うわぁぁぁ、夢主ちゃん悲しいぐらいに優しいよぅ。(泣)ジウンちゃんもなんかありそうやし、、、 めっちゃ面白いです！更新頑張って下さい！ (2019年8月2日 0時) (レス) id: c13b41d6ee (このIDを非表示/違反報告)
uyu(プロフ) - いくみんさん» お待たせしてしまってすみません！一応ハッピーエンドで終わる予定にしてるので安心してください！ (2019年7月31日 20時) (レス) id: 20c193e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：uyu | 作成日時：2018年3月3日 19時
