縁組カプリッチョ

第三十九楽章 ページ47

「包み隠さずさらけだすのは難しいよなあ…

家族とかでもさ、5割は見せるけどあとの3割は友達、残りの2割は誰にも見せない部分って感じで」


「は、はい」


「絶対わかってないでしょ」笑いながら、烏龍茶を飲み干す上沢さんにつられて私もちょうどラーメンを食べ終わり、水を口に含む。


「きっと葵香は、友達に見せている3割中の半分くらいしか千賀さんに見せてないんだよ

だから千賀さんはたまに見せる葵香らしいところを見て、あー気遣わせているなあもっと心開いて欲しいのにって思ってたんじゃないのかなー」


「なるほど…そういうことだったんですね」

全然わからなかった…

確かに私はとっても、千賀さんに気を遣っていた。

それが返って、千賀さんも私に気を遣わせることになってしまったんだなあ


「いや、俺千賀さんじゃないから違うかもしれないけどね？」

「十分です！なんか心が晴れてきました」

うん、春巻きも食べよう。
注文用のタブレットを手に取り、あ、上沢さんに聞かなくてはと、顔を上げると烏龍茶と言われた。

いじっていると


「これ言ったら葵香怒るかもしれないし、葵香にとってはってことなんだろうけど」

「？はい」


前置きの長さから一体何を言われるんだろうと、手を止めて上沢さんを見れば

「どうしてあんなに泣いてたの？」と申し訳なさそうに聞かれて


「言ったじゃないですか〜自分でもわからないって、
たぶん疲れてたんですよ。昨日も色々ありましたし」


もう、昨日のこともまとめて聞いて欲しかった。


「昨日…そういえば葵香見かけたんだよ」


「えっ！
あ、だから私のこと記者って知ってたんですか？」

思い出した、

上沢さんに、職員？と声かけられたのに他の球団に女の記者いないからって言っていて

どうして？？職員って思ったんじゃないの？と考えていたんだ


「そう、本当は昨日よりも前から葵香のこと知ってたんだ
話してみたくて、どうやって声かけようかなあって思ってた」


「衝撃事実なんですけど…？」


「でも昨日の葵香いつもと違くて、普通に柳田さんの彼女かと思った」


それは、柳田さんと歩いているところを見られてしまったのか…？

「………」


「え、まって彼女じゃないよね？」


「はい！彼女じゃないです！」


「めっちゃ食い気味じゃん？なに？なんかあった？」


黙っていたせいで、変に怪しまれちゃったけど…



「実は…」

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