縁組カプリッチョ

第二十二楽章 ページ30

マフィンを作り終えて、冷ましている間にお風呂に浸かる。


お花を自分の部屋に持って行ってもなお、いつもの穏やかな千賀さんではなかった。

柳田さんとご飯行きたくなかったのかな…




12月にボーナスが出るから…
11月くらいにはここを出るべきかな…仕事の様子がわからないけど。

引越しをするはするで千賀さんに迷惑かけちゃうよなあ…

あぁああ〜…
考えれば考えるほどに大変なのが目に見え、どうしても周りの力無くしては自分ひとりで何もできない。



でも、引越しよりも先に…

ずっとはぐらかせられていたこと、私自身もまだ知らなくてもいいかと思っていたけど…



聞いてみようかな、
ずっと、色々聞けないでいたけど


ここまでしてくれる、理由を。





お風呂を上がり、髪を一瞬で乾かして、



ラッピング作業。


本当にこの、ギフトボックスかわいい…


マフィン何個か失敗したけど、自分を信用してなかったから多めに作っておいて良かった！

まあ、予定よりも多くなってしまったのも致し方ない…！


おおー！こうやってみたら売り物にも見えなくない！！

うんうん、何だか考え込んでしまっていたけど気分が乗ってきた！



写真撮ってお母さんに見せてあげよ〜！久しく連絡してなかったし！
はあ〜不器用な私がこんな素敵なもの作れるなんて…！


スマホを開くと同時に柳田さんから電話がきた、


「はい、もしもし？」


«あおー千賀酔い潰れたけん今から帰すわ»


「え、わかりました」


«20分くらいで着くからー»


「了解です」


千賀さんあまりお酒飲まないって言ってたのに…無理に飲まされるとか、やっぱりあるのかな？

あ、でもシンプルに花粉症じゃなくて、単に疲れてたのかな〜
千葉、大阪、埼玉と遠征続きだったから…

疲れたらお酒飲みたくなるもんでしょう？？




…というか、もうそんなに時間経ってるの？

千賀さんと柳田さん出て行ったの18時くらいだったじゃん…わっ23時になりそう…！こんな経っていたのか、








しばらく経って、ドアが開く音がして玄関に向かえば




「葵香ちゃんごめんね、」


「甲斐さん、」


「千賀置いてくね」


「ああどうぞ、どうぞ」



凄いお酒の匂い。

甲斐さんが明日肩の張りを訴えそうなくらい辛そうなので、私も急いで千賀さんを支える



「お水飲みますか…？」

お酒には水がいいと聞いたことがある。


「ありがとう」



とりあえず、ソファーに千賀さんを寝かせて甲斐さんと並んで座る

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