縁組カプリッチョ

第八楽章 ページ16

実家から送って貰ったおかげで、ちゃんとした服着れる…！

ヘアアイロンあるから、ドライヤーはなくてもいいかなと思いながら髪を巻いてく

久々にこんなにちゃんと身支度する


思えば、社会人になるの不安だったのにバタバタしているうちに

福岡に住むことになるし、あの千賀滉大と同棲とか…


予想外のことばかりだなあ

人生ってそんなもんか？？



できた、できた





「瀬河さんなんか」



え、可愛いいただける？？

久しく誰にも言われてないよ？



「独特っ…」



笑われたぁー！



「え、どこがですか、」



「なんていうか、派手っていうか、

俺は嫌いじゃないよ」



「？ありがとうございます」

「行こっか」

ん？派手って褒めてる…？


独特…？派手…

そうかな？？

まあ、私流行とかには疎いから…



「車なんですね」



来たことのない地下駐車場に

「酒とかあんまり飲まないんだよね」



「私もです」



「ははっ、本当に気が合うね」



気が合う、とか
言われると嬉しくなるのなんでだ


全然気合わないね！って言われて嬉しくならないのと同じか？

ん？




「後ろ、乗りますね」



「前でもいいよ？」



「助手席って臨場感ありすぎて怖いんですよ」



「なるほど」



さすがとしか言えない、高級車…

乗るのも緊張するんですけど




「千賀さんって彼女いないんですね」



「いないんですねって言われるの始めてだわ」



「あ、すいません…！」



「まあいないけど」



やはり、
って誰でも思うか





千賀さんはもしかして私のことが好きなのかと思ってしまう


そんな自意識過剰なこと中々思わないけど、間違いなく嫌われていないよね

うーん




でも理由がないよなあ



単なる人助けだったりするのかな



まあ、恋愛的な意味で好きなのかは保留。





車が動き出してから、いままで
特段口数が多くないであろう千賀さんと私はお互い話さなかった


でも全くと言っていいほどに沈黙が辛くない

私は結構親しくない人とは、沈黙が苦手で頑張って話そうと思ってしまうタイプだ



出会って、話すようになって

間もないのにこんなに落ち着いて黙っていられる空間があるとは思ってもいなかった


凄く、心が楽







博多の街並みは明るくて、ぼっーと窓の外を眺める

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