届 い て い る ん で す ね 。

覚悟 ページ38

お手紙を書くのはとても久しぶりですね。


この便箋が最後の1枚でした。


今回お手紙を書いたのは上沢さんに伝えたいことがあるからです。


本当は直接伝えるべきなのですが期限が決まっていたのでこのような形をとることにしました。


私は9月から12月までの4ヶ月間カナダへ留学します。


私は早く単位を取りたくて授業をたくさんいれていました。


留学をすると卒業までの単位をほぼ取得できること。

そして、私自身経験してみたいと思いました。



上沢さんのシーズンを見ていたい、サポートしたいと思って迷いましたが決断しました。


野球選手にとって支えてもらえる存在がいないのはとても大変だと思います。


しかもシーズン中に…本当に申し訳ないです。



待っていてくださいなんて言いません。


上沢さんを支えてくれる素敵な女性を見つけてください。


私はこれからも上沢さんの活躍を遠くから見ています。


上沢さんとお付き合いする前に戻ったと思ってまた札幌ドームで応援します。


ありがとうございました。



私はLINEを消すのでその点は心配しないでください。


傍にいられて本当に楽しかったです。




碧香





いただいた鍵を封筒に入れて上沢さんのお家のポストへ


明日が移動日だから読んでくれるかな



始めて泣きながら書いたお手紙


何回も下書きしてやっと纏めた言葉



LINEを立ち上げて


アカウント削除というボタンを押す


いままでのトークも全て消えてしまう。



仕方ない



自分で決めたことだから


迷いなんてもうない




私はファイターズの上沢直之選手のファンです。


ただのファン。



腕時計だけはこれからも一緒にいようと思います。


カナダにも連れていきます。



これだけは過去にしたくない



青を基調とした時計


私には高価すぎる始めて上沢さんからいただいた贈り物




「 だいすきです 」



留学の準備しなきゃ



上沢さんと通ったこの道ももう通らないだろうな



頭に浮かぶ上沢さんとの思い出




「 やっぱり悲しい 」




涙が流れる


拭ってくれる上沢さんはもういない




これから学校行くのに…





「 止まんないよ… 」





悲しいことではない


前へ進むために



と自分に言い聞かせるけど全然自分は理解してくれない




わかってよ…


自分で決めたことなんだから

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