届 い て い る ん で す ね 。

恋 ページ11

「ポカリとか自販機で買えば？」

「あー…でも持ちにくくない？」

「そっか、袋とかないと持ちにくいか」


こう落ち着いてみれば

やっぱり上沢さんのファンは多くて好きなのは私だけではないと思い知らされる



ちょっと浮かれすぎちゃったかな



私は今どうなりたいんだろう


「あとは上沢だけだね」

「そうだね」

「少し減ったから移動しよ」


渡すものはないけど良い場所を取った

今残ってる人はみんな上沢さん待ち

私はその中の1人でしかない


「平日でもあんまり人数変わらないね」

「…だね」


今回は特になにもないのに緊張する


どくっと胸が高鳴って少し胃が痛くなる…


「やっぱあおはいつでも緊張するんだね」

「心臓口からでてきそう…」

「でないから〜!」

と話しているうちにタクシーが1台来た


いつもタクシーが来てから上沢さんは出てくるのが早い…

寮の入り口から目を離せない



………来た


タクシーの荷物を置いてからファンの元に…

いつも同じ



前は夜だったからよく見えなかったお顔もはっきりわかる


少し眠たそう


今日もサインを書いている優しい上沢さん。




制服だし、お化粧してない顔も見て欲しくなかったけど…覚えててくれていますか…？


うわさわさん…



「 おつかれさま 」


「 ……… 」




どうしてだろう…


涙が溢れてくる


今までたくさん優しくしてもらって…


でも今回だけは特別に感じた


何も言葉を返せなかった


だけど私の心に深く響きました


上沢さんは気づいたらタクシーに乗って行っていた


「あおなんで泣いてんの…!?」

「…なんでだろうね」


そのあとも涙が止まらなかった





私やっとわかったんです


上沢さんに好きになってもらいたい



淡い期待はやめて本気で好きになってもらいたい




私うわさわさんを好きになれて幸せです



思い出したんです


中々勝てなくなった頃


上沢さんの悔しそうな表情を見て応援し始めたんです





いちファンの…


しかもまだ高校生の私ですが本気で上沢さんに恋をしていました。

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