第九十八楽章 ページ6
「柳田さん、お待たせしました〜」
「おーん、座って」
「失礼します」
向かい合わせの席に腰掛け、早速始めようとタブレットをつける。
「あお、隈やばい」
「え、」
やっぱり、そんなに目立つのか…
あとでファンデーション厚塗りするか。
「何時に寝たん?」
「昨日は…3時半くらいですかね」
「えっ」
結局、晃さんにたくさん教えてもらったのだけれどいくつか試合のハイライトを観たり、スコアチェックなんてしていたらもう朝日が昇りそうだった。
「私は選手ではないので、コンディション不良でも大丈夫です」
「大変やな」
テーブルを挟んでいるのに気にせず腕を伸ばして頭を撫でられ、腕長っ!
じゃなくて…柳田さん…周りに選手とか職員さんおるんよ。
「やうえてくだはい」
私の頬をむにゅっと潰し楽しそうに笑ってる、スマホまででてきたわ。
「お、かわええやん」
2台目のスマホと共に登場した千賀さん。
まって、まって、
こんな顔でカメラロールに入りたくないんだけど…?!
柳田さんの手の甲を軽く叩いてみるも、千賀さんに遮られ手を握られるという。
なんだ、この状況。
お巡りさんこの人たちです、ってやつじゃん。
兎にも角にも、久しぶりだったけど問題なく一日を終えることができた。
強いて言うなら楽天がとても勢いに乗っているっていうのが伝わった。
ファーストステージの西武、楽天も観てくるべきだったと思うほど。
「え、CS終わったらですか…」
「出張終わったばかりなのに、本当申し訳ない。春季キャンプまで本社勤務になります」
「…わかりました」
「本社だと、ご実家から通えるんだよね?」
「あーそうですね…」
辞令は突然に…ってまあ辞令ではないけどね。
日本シリーズは新人には任せられないよっていうことをオブラートに言われ…
春季キャンプまでは、本社で色々勉強してとのことらしい。
日本シリーズは、普段よりもニュース番組で取り上げられたり全試合が地上波で放送されるため野球に興味のない層からも関心が集まりやすい。
そうなると、記事を読まれる機会もより増える。
逆に言うと、普段はあまり読まれないから私で十分だろうってことなのかと捻た考え方をした。
私だけではなく、時間を割いて答えてくれる選手にも失礼だ。
そんなふうに思った。クライマックスシリーズ。
108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぶ る ー か(プロフ) - みかんの木さん» ありがとうございます!!♡思い浮かべて読んでいただけたなんて…!嬉しすぎます🥺💭いつもありがとうございます🌷 (2022年7月24日 22時) (レス) id: 5a8e295ea5 (このIDを非表示/違反報告)
みかんの木 - 千賀さん再度楽しみにしています😭 (2022年7月23日 23時) (レス) id: d024df346a (このIDを非表示/違反報告)
みかんの木 - 本当にぶるーかさんの作品素敵です‥!!特にエレベーターの所で状況を思い浮かべた時ほんと泣きそうになりました😭 (2022年7月23日 23時) (レス) @page29 id: d024df346a (このIDを非表示/違反報告)
ぶ る ー か(プロフ) - 丹助さん» ありがとうございます😭丹助様のコメントに泣きそうです( o̴̶̷᷄ o̴̶̷᷅ )こちらこそ、読んでいただきありがとうございます! (2022年4月1日 21時) (レス) @page17 id: fd8434313d (このIDを非表示/違反報告)
丹助 - この作品を拝読し、今、とても感動しています。人間の単純でない繊細な心と、優しさと、別れの寂しさに泣きそうです…!素敵な物語をありがとうございました‼︎ (2022年4月1日 12時) (レス) @page17 id: a16baf1842 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぶるーか | 作者ホームページ:http://semi.karasu
作成日時:2022年3月31日 1時