縁組ファイナリー

・ ページ21

「陵矢、あのとき電話出られなくてごめんね」

彼のことをなんて呼んでいたのか、呼んだことはあったか、
口に出してからそんなことを思った。



「え」


「ずっと、心残りで。

謝って楽になりたいってわけではなくて、ただ間違いではなかったんじゃないかと思って」


「気にしてくれていたんだ」


「まあ…」


あおに頼まれていたのが気がかりだったっていうのもあるんだけどね。


「今日来るか悩んだんだ、」

やはり、そう簡単に折り合いを付けられる気持ちではなかったんだ…


「でも、あおちゃんのウェディングドレス姿見ないとってそれだけ考えてた」


どうせ、みんな来てるから写真で見るなら実際に見る方がいいって。続ける陵矢は使う言葉ほど辛そうではない


「今日やっと、吹っ切れたんだ。
とっくに結婚してたのに結婚式って凄いね、ふたりが幸せそうで心の底からおめでとうって言えた」


「そっか。
でも、ゆっくりでいいと思う。

そんな急がなくても、頑張って切り替えようとしなくても

妬んだり、くそって思ってもいいんじゃない」


大きい目をさらに丸くしている陵矢。

たぶん、私は人の感情を読むのが少しだけ上手いんだと思う。

吹っ切れて、折り合いをつけていると言った陵矢は言葉とは裏腹のようだ。




「桔花今度、改めて会わない？」


「あおの話すことはもうないよ」


「俺が聞きたいのは、桔花のこと」


前言撤回しようかな、
陵矢が何考えているかさっぱりわからない。


でも、


「わたしは葵香みたいに優しくない。

それでもいい？」


私は、葵香のように誰にでも優しくない。

可愛げもない、野球選手に興味を持たれるような容姿もしていない。


あおが好きな奴に、私と会うメリットなんてない。








そんなこと、百も承知。


「今の俺に優しさはいらない」



















--------ｷﾘﾄﾘ線--------

優しいあおちゃんが好きだった栗原くん。優しすぎない、取り繕わない桔花ちゃんに惹かれていく…

最後のは、優しさ=あおちゃんで考えてもらえればと思います！


今、活動自粛(おやすみ)しておりますがたまにスーパーやコンビニに行くノリで現れたいと思います(？)



今後は、夫婦In台湾とオリンピックで1年半ぶりの再会を予定しております。

1＋1→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す