縁組カプリース

第四十五楽章 ページ3

「いつの間にギータとか晃さんと仲良くなってんの」


「え…あー

晃さんはわからないこととか教えていただいているうちに話すようになりましたね…仕事でもいちばん話聞きやすいです。

柳田さんは」


柳田さんっ…！
ってどう説明すればいいのかな…？？！



「柳田さんは、誰にでも優しいじゃないですか…」


間違っていないはず…

私が知る限り柳田さんはいつも誰かといて、慕われていたり、頼られていると思う…



「ふぅーん」

本日何度目かのふぅーんをいただいた。




「千賀さん、どうして私に良くしてくれるんですか？」


ずっと、気になっていて聞きたかったことなのに、


案外、すらっと言葉を出せてきっと千賀さんと話しながら美味しいご飯を食べているうちにリラックスしているのだろう



「良くしてる…？」


「えっ」


「そんなつもりないよ？」


……んん？それは、なんだろう、

えっと…？


良くしてるつもりはない…




「千賀さんはとてもお優しいんですね」


じゃあ今まで私がどうして？？と思っていたことはもう、千賀さんの優しすぎる人柄が全てだったと

済ませていいってこと…？



「あーまって

葵香だけだから。葵香じゃないとそんな風に思われるほどいい人じゃない」



「…そ、れはどうしてですか？」



「葵香と一緒にいたいから」




一緒か


私がまだまだ一緒にいていいなら、
千賀さんに彼女ができたらとか、迷惑だからってことは考えなくてもいいんだよね…



「千賀さんと2ヶ月ちょっとしか、過ごしてないのに…
ここ1週間話せなかったの…

なんだか辛かったです」




全部を全部さらけ出すのは上沢さんが言っていたように難しい。
正直に感情を口にだすことや、自分の考え方を見せるのは…抵抗がある。


でも、千賀さんが"一緒にいたい"と言ってくれるなら

私は少しづつでも、千賀さんに自分らしさを見せたい。




私の頭を撫でながら、

穏やかに優しく笑う千賀さん。




突然の事で私は、びっくりしてしまって、





「俺も」


という、声を聞くまでよくわからない状況に固まっていた。

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