君と僕の5年間 (ページ1)

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1 恋は不思議なエッセンスページ1

何気ない動作一つに、
こんなにドキドキするなんて、
恋は不思議だ。
人を、幸せにも不幸にもさせる
魔法のエッセンス。

毎朝、見かける電車の中で、
あなたが乗り込んでくるのを待つ時間が好き。
同じ時刻、同じ車両、人の混み方が
ひどくはならない、いいタイミングの駅で、
あなたが乗り込んでくる。

座席が空いてたら、あなたは、
カバンの中から、
カバーのついた文庫本を取り出す。

その横顔を、景色を観るふりをして、
わたしはいつも観ていた、
時々、長めの前髪だけが
カラフルなメッシュに染まったり、
笑ってる訳ではないのに、
口元に自然と笑みを、浮かべる不思議な表情、
黒い瞳が印象的で、帽子とマスクとメガネ、
どれかを必ず、身につけてた。

いったい、何をしてる人なんだろ？
多分、何駅か向こうの学生なんだとは
思うけど、学生らしくはない雰囲気があって、
周りのみんなは、
彼には声をかける人は、いなかった。
気になって、仕方ないのに、
1年間片思いを続けてる、わたしもわたしだけど。

あなたが降りる駅は、わたしの降りる駅の２つ前。
月曜から金曜日、学校のある間は、ずっと続いた。

ある日、いつもの時間に、
彼が姿を見せない日が来た。

あ～っ、もうこの電車は利用しないのかな
なんか、つまらなく思った。
今なら、まだその位ですんだ片思い。