最後のONE PIECE (ページ3)

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3 君を知ってるページ3

痛むのか、少し涙目になってる子を見たら、
置いて帰れなくなった。
感じの良い子だなと、思った。
何故だろう、記憶に残る何かが引っかかった。

エレベーターに乗り、肩にもたれたAが、
申し訳なさそうに謝る。
TAE「なんで、謝るの？」
A「迷惑かけたから」

ふっと笑って、Aの髪を撫でた。

TAE「気にしないで」

Aの部屋の前に着く。
リビングに入ると、そこにあったのは
とてつもない大きさの
やりかけのジグソーパズルのワク。
広い部屋が、半分埋まる。

(なんか、この子、面白い)
ソファに、腰をかけて、
冷やしたタオルを足首に当てる。

TAE「冷やしておくのが、一番だから」
A「すみません」
TAE「ジグソーパズル好きなの？」
A「好きというか、
これは気晴らしに1番だから」

TAE「かもしれない」
A「あの」
TAE「ん？」
A「テミンさんですよね？」
TAE「うん」
A「ほんとに、すみません。忙しいのに」

テミンが、ここにいるって考えるだけで、
倒れそうな感覚に捕らわれる。

TAE「忙しくないよ」
足が動くかを確かめてから、キッチンに向かう。
A「あの、紅茶どうぞ」
TAE「ありがと」

緊張してるのか、
彼女は僕から離れたところにいる。
TAE「名前は？」
A「伊崎Aです」
TAE「日本から？」
A「はい」

TAE「紅茶、入れるの上手だね」
アールグレイの香りが、漂う。
TAE「もう、行かなきゃ」

A「はっはい」
TAE「A、また来ていい？」
A「えっ」
TAE「パズルが気になるから」

テミンは透明な光みたいな、
笑顔を浮かべて言う。