18 カイの章 3 完 ページ18
そのまま、カイは目がさめる。消えない内に不思議な曲を急いで、ボイスレコーダーに落とす。
聴いていた、チャニョルが、驚く。
CHA「どうしたの、その曲？」
カイ「夢で聴いた曲」
CHA「この音階は、
素人じゃなかなか浮かばないのに、
ファウストかよ、ったく」
作曲やましてや、楽器を触らないカイだから、
余計に驚いたようだった。
カイのダンスが、ますます凄みを増した新曲が、
出来上がったのは、この曲が元になった。
あれから、カイはAには、夢で会えない。
何度眠ってもあの笑顔には、会えない。
カイ「A、新しいダンス覚えたんだ」
誰につぶやくでもなく、カイは言った。
猫が鳴いた気がした。
カイ「ニニ？」
白い猫が、通りの向こうを横切る。
急いで、そのあとを追いかけると、
そこは、公園。
公園のベンチで、
松葉杖の女の子が座ってるのが見えた。
その横顔は。
カイ「A？」
立てかけてた松葉杖が、倒れる。
声に振り向くA。
A「ニニ？」
走り出して、Aを抱きしめる。
カイ「やっと見つけた」
カイと会っていた間、Aは、交通事故で
ずっと昏睡状態のままの時だったらしい。
ある日、誰かがつけたテレビで
流れたEXOの新曲で、
Aの目が反応して、看護師が近寄る。
A「カイ？」
目覚めた場所は、白い病院。
あの時の曲は、何だったのだろう。
テレビで観てるカイのダンスは、
以前とどこか違ってた。
カイはどこが、変わったんだろう。
夢は夢でしかなくて、だけど、
もしかしたら夢を共有できてたのかなとか、
ふと思ったりもした。
Aのリハビリは、まだまだ続く。
また、前のように踊れるように。
大好きなカイのダンスに追いつくようにと。
そして、やっとカイに会えた。
ーニニが、連れてきてくれたんだよー
振り向くと白猫はどこにもいない。
fin
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作者名：如月ゆい
| 作成日時：2016年12月7日 20時
