囚われの口づけ second kiss (ページ10)

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58話　藍住氷華ページ10

…そして、あれから数週間

今日は、普通に平日の学校だ

だけど、この教室に爆豪と緑谷はいない

なぜなら、今日が雄英の入試当日だからだ

うぅ、私が受ける訳じゃないのに、緊張する…

爆豪は結局、受験前日の日も私のキスに付き合ってくれた

余裕なのか、油断してるのか…

爆豪がいない教室はとても静かで、みんなどこなくなにか足りなさそうな顔をしている

…うん。私もなんかちょっと足りない

キーンコーンカーンコーン…

堀セン「…ん、自習終わり！お前ら受験も近いんだから、ちゃんと全教科の復習しとけよー。落ちて泣くのはお前らなんだからなー」

生徒１「“落ちる”なんて縁起悪いこと言わないでよー」

生徒２「せんせーのせいで本当に落ちたらどうすんの！」

…ほんと、受験前だってのに、みんな元気だなぁ

貴「氷華、さっきの教育相談のとき、扇稜高校の判定もらったんでしょ？どうだった？」

氷華「ん、普通にAだった。Aは？」

貴「さすがだねー、まぁ私もAだけど」

扇稜は言うて偏差値はそんな高くない。私たちの成績なら多分余裕で入れる高校だ

これで高校でも氷華と一緒…

貴「あ、そうだ。氷華この間病院から出てきたよね？身体どこか悪いの？今は大丈夫？」

氷華「えっ…！？」

私の言葉を聞いた氷華はとても驚いた顔をしていた

それと同時に、だんだんと顔が青ざめていくのも感じた

氷華「み…見たの…？」

貴「え…、いや、見たっていうか、見かけただけだよ？すぐ車進んだし…」

氷華「…そう。…ならいいけど！」

…なに？いま一瞬だけ、氷華が凄く怖かったんだけど…

氷華「別に悪いところなんてないよ！予防接種に行ってただけ！てか次移動だよ！早く！」

貴「あ、まって！」

…氷華は、氷華だわ、うん。いつも通りの氷華

…でも氷華は、嘘をつくとき目をそらす

氷華は、私と目を合わせてくれなかった

氷華、また嘘ついた

なにを嘘ついてるの？

私にも言えないことなの？

私、そんな頼りないかなぁ