恋は複雑に絡まって ymin arin

#8 ページ9

伊野尾side

先程山田への気持ちに気づいたばかりなのに


今は当の本人が俺の部屋の


しかもベットの上で漫画を読んでいるなんて


まっ、枕と顔が近いよぉ…


外面では何も考えてないように見えるけど


いつも通りに接するのがやっとで


あれ、俺いつもどうやって接してるんだっけ…


『…ちゃん、伊野尾ちゃん!!』


「っひゃい!!」


『…ふはっ、!!何今の声!!』


恥ずかしい…消えたい…


「そんな笑わないでよ!!何??」


『あぁ、このマンガの続き取って』


「ん、はい」


『サンキュ』


マンガを渡す時に


指先が一瞬、ちょっとだけ触れて


それだけ、たったそれだけなのに


触れた部分からじわじわと全身が熱くなってくる


自分でも顔が赤くなってるのが分かるくらいに


『…??伊野尾ちゃん、熱ある??』


「…っふぇ??」


『いや、顔あけぇから』


そう言って山田は俺の前髪を上げて


自分のおでこを俺のおでこにくっつけてくる


っうわうわうわ、山田の息がっ…近いよぉ


『ちょっとあちぃな…大丈夫か…??』


こんなの、余計熱くなるに決まってんじゃん


そんなこと急にしないでよ


心臓が持たないよ


「だっ、大丈夫!!大丈夫だから!!」


『ん、そっか』


山田はふっ…と笑って、またマンガに目をやる


俺は小さくため息をついて、気持ちを落ち着かせ


…られる訳もなく


いつまで経っても心臓がばくばくうるさくて


山田に聞こえてないか心配だった＿＿＿

#9→←#7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す