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食器を片付けて、スケッチブックと色鉛筆などが入ったトートバッグとスマホ、財布、鍵を持って公園に向かう。


運良く散歩日和な天気でいい絵が描けそうな気がした。


絵は苦手じゃないし、得意な方ではあるけどそれは人物像に限るし、何しろ風景画は描いたことがなく早々に自信を無くす。


誰かその辺に立ってくれるだけでだいぶ気持ち的にも変わるんだけどなぁ…
そんな上手い話はないし、天気と自然の力で何とかするしかないみたいだな。


公園について木陰があって座れる場所を探す。
出来ればベンチに座りたいけど、ちらっと見たら人がもう既に座っていたし日があたるので違う場所を探す。

しばらく歩いているとベンチではないけど木陰があって座れる木の下を見つけた。
ちょっと外れた場所にあるけど自分が思ってた通りの場所だったので、ここで描くことにする。



どさっと座って持ってきたトートバッグの中身を出す。
まずは下書きをしなくちゃならいからスケッチブックと鉛筆を出して景色を見ながら描き始める。



しばらく描いていると喉が乾いてきた。
どこか自販機で買ってこようと思い、財布とスマホだけを持って自販機を探す。


思ってたより近くに自販機が見つかり、ペットボトルのお茶のボタンを押す。
ガタンっと勢いのある音がしてペットボトルが落ちてくる。
お茶はよく冷えてたみたいで持つだけでもひんやりと冷たく乾いた喉を潤すようにゴクゴクとお茶を流し込む。


お茶を飲んで早く絵の続きを描かなくてはと思い、座ってた木を目指して歩く。


木の下に人が座り込んでいるのが見えた。
何を見ているのか、何をしているのか、後ろ姿からじゃ全く分からないため早歩きになってその人に声をかける。


『なにしてるんですか』

「わっ、ごめんなさい、余りにも綺麗な絵だったからつい見蕩れちゃって…」


ごめんなさいと小さくお辞儀をする彼女を見たら、警戒心がガタッと崩れる音がした。


『いえ、こちらこそすみません』

「誰だって自分のいたところに人がいたら声をかけるもの、勝手なことしてごめんなさい」


さっきまでの警戒心は何処へやらあっという間に僕はこの人に心を惹かれている。

なんだか、もっと話したい もっとこの人を知りたい



この人を描きたい





とまで思うようになってしまった。

〃→←〃



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作者名:瑠桜 | 作成日時:2022年6月10日 0時

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