真夏の少年~19452020~

第1話＿その七 ページ10

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｢とにかくお前はさっさと行け。授業に遅れる｣

｢瀬名くんファイト｣

｢え、姐さん俺の事捨てるんすか！ていうかなんでそんな他人事?!?!｣

｢他人事だし｣


でもちょっとだけ好奇心が心にひょっこり現れて、駐輪場に向かうフリをして話を聞くことにした。


｢財前くんが自 殺未遂を図った事は知ってるよな？｣

｢らしいね｣

｢じゃあその財前くんはなんで飛び降りたのか心当たりあるよな？｣

｢なんの事だよ！｣


飛び降りの原因は悟にあったのだろうか。
だが当の本人は訳もわからずといったような顔だ。


｢お前さァ、財前からカツアゲしたんだろ｣

｢は？｣

｢3日前の体育の後だよ。財前本人が言ってんだ｣


悟はは3日前へと考えを巡らせた。

────体育終わりに喉が渇いた悟は、財布を忘れていたことに気がついた。
通りかかった竜二に小銭を貸してくれと頼んだものの、彼も持っていないと言う。
そこでたまたま悟の目に留まったのは、財前だった。


『悪ぃ、150円貸しといて？』


財前は快く……とは言い難いが、何も言わずに150円を手渡した。
それを財前は"カツアゲ"だと言ったのだろうか。だとしたらそれは勘違いだ。


｢あの時はたまたま財布が無くて！｣

｢それでカツアゲした訳か｣

｢借りただけだって！｣

｢じゃあ返したのか｣

｢っそれは…………｣


口ごもる悟を見て、2人はフッと鼻で笑った。
結果、悟には自宅謹慎の処分が下り、その場で生徒手帳を没収されている。

とんだとばっちりだなァ、とAは他人事で、自転車の鍵を回した。









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