真夏の少年~19452020~

第1話＿その三 ページ6

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『皆さん大変です。
2年B組の財前康隆くんが飛び降り自 殺したというニュースが入ってきました！』


明菜が所属する放送部のチャンネルを暇つぶしがてら見ていた時。
これには驚いて、食べかけのアイスをぼとりと落としてしまった。


｢2年B組…………同じクラス…………｣

｢どうした？｣


一緒に下校中の道史がAの手元のスマホを覗き込む。彼もまた、眼鏡の奥でぱちぱちと目を瞬かせた。


｢柴山のお母さんが黙ってないね｣

｢笑い事じゃないだろ……｣

｢笑ってない｣


他人の事に一切の興味も示さないAだけど、人が死んだとあらば話は別だ。
流石にクラスメイトが飛び降りて｢興味ない｣でスルーも失礼だろう。


｢意味わかんない｣


この情報を明菜たちがどこから仕入れてきたのかも謎だし、財前がどんな状況にあるのかも分からない。


｢何かのドッキリじゃないのこれ｣

｢ネタ作りのためにクラスメイトを死んだ事にするってのは随分と不謹慎だと思うけど｣

｢じゃあほんと？｣


まあ明日学校で詳しく話を聞こう。
エンディングが流れ始めたチャンネルを閉じて、スマホにヘッドホンのコードを繋ぎ、音楽を流した。


｢A｣

｢ん？｣

｢………………やっぱいいや｣

｢自己完結早くない？｣


こちらに横顔だけを向けて、目を合わせようとしない道史。

何コイツ。と視線を彼から逸らすと溶けきったアイスクリームが目に写って、その場で硬直したのは言うまでもない。


｢高かったのにっ｣

｢お疲れ｣









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