第5話_その四 ページ49
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「おー!ナッちゃんナッちゃん!スクープ!」
「?」
翌日、体育終わりの昼休みのこと。
校舎裏でチョコマフィンを頬張っていたAの所へ、息を切らした竜二がやってきた。
「はァ、疲れたーっ」
「ここに居るってよくわかったね。」
「ナッちゃんなら人が少なくて涼しいところにいるんじゃねえかと思ってよ。虱潰しにそこら辺の日陰探してたんだよ」
「ご苦労さま」
ここまで探し回るほど重要な用事なんだろうと思い、とりあえず座りなよ、と隣を勧めた。
「で、何?」
「聞いて驚け…………ァ篤の熱愛が発覚した!」
「は?」
「さっき彩花が篤ん所来て『あっちゃん、お昼一緒に食べよ(裏声)』ってさ。
腕まで組んじゃって、あれはデキてる。うん。」
我ながら最高のネタだぜ、とか言いながら自分を褒めている竜二だったが、Aはというと不思議そうに首を傾げながらチョコマフィンの袋を握り潰している。
「なんでわざわざ走り回ってまで私に言うわけ」
「ナッちゃんと篤って付き合ってんじゃねえの?」
「………………」
「え」
何も言わないAの顔を見て察したらしい。
俺が体育終わりにここまで汗だくになった意味よ!と叫んでいるのを聞き流して、スマホをいじっているA。相変わらず自由人だ。
「え、でもさ。ちょっとは気になるだろ?」
「全く」
「でも今朝一緒に登校してたじゃん!」
「あれはただ暗殺に失敗しただけ」
「何意味わかんねえこと言ってんの」
「こんな汗だくになるまで走り回って
…………ふっ、労働力無駄にしたね。ご苦労さま」
「何故だ…………さっきの『ご苦労さま』はムカつかなかったし寧ろ嬉しかったのに……なんでこんな湧いてくるんだ怒りがァア…………」
明らかに鼻で笑ったAの素っ気なすぎる態度に、竜二の怒りは爆発寸前だ。
「殴りたいなら殴っていいし言いたいことあるなら好き勝手言ってくれて構わないよ」
「ほォ…………ならお言葉に甘えて…………」
「…………………………やり返しはするけどね。それでいいなら殴る蹴るのタイマン張ろうや」
「やっぱやめとくわ…………てかナッちゃんの口からタイマンって言葉出てきたのに驚き」
「え、そういうの好きかなって思って言ったんだけど」
「恐縮っス」
俺も悟みたいに"姐さん"って呼ぼうかな、と心のどこかで思ったとか思わなかったとか。
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ん - ナッちゃんってあだ名読者が読みやすいようにこのあだ名も変換できたほうがいいと思います (2020年10月3日 3時) (レス) id: 9a687a3599 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 真夏の少年待ってました!めっちゃキャラいいですね!!那須くんとの絡みが少ないものが多かったので嬉しいです! (2020年8月7日 2時) (レス) id: 8da083b7de (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!真夏の少年書いてくれて嬉しいです!!私も落ちはひだか君がいいです!! (2020年8月1日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年8月1日 15時) (レス) id: 3c6e877405 (このIDを非表示/違反報告)
姫 - 今日から始まりましたねオチは私的に飛貴くんがいいです (2020年8月1日 0時) (レス) id: 1c8b5a85be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいふくリンゴ☆ | 作成日時:2020年7月29日 19時