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第2話_その十 ページ24









「あ、そいえば」


パタンと教科書を閉じ、道史がシャーペンを握る手を止めたタイミングで口を開いた。


「ロンドン行くんだってね」

「あー…………」


明彦和彦兄弟の親である山田ゲルハルト節子が社長を務める会社が提供する短期留学制度。
選ばれた生徒のみがロンドンへの短期留学を認められ、特別に勉強できるというものだ。
Aも毎年学校から話を持ちかけられてはいるも、まともに話を聞いたことはない。


「情報早いな」

「放送部もびっくり」

「………………Aはどうすんの?」

「行かないよ?興味ないし。私ロンドンよりフランスの方が好きだし」

「マイペースというかなんというか…………相変わらずだなお前。」


幼なじみとして長年見守ってきたが、Aのマイペースさにいつも振り回されてばかりだ。
それは道史だけでなく、Aも道史のマザコン拗らせっぷりには手を焼いていた。


「嫌なんじゃないの」

「バレてた?」

「そりゃあね。母親に行けって言われてるんでしょ?相っ変わらずとんでもない毒親だね」

「ちょ、下にママいるから」


しーっ、と人差し指を立てて地面を指さす。
Aは「だから何」というような目で道史を見てから、ふっと視線を下に落とした。


「アンタもさ、いい加減自分がしたいこと見つけたらどうなの。
親が喜ぶ顔みたいってのも分かるけど。子供は親のおもちゃじゃないんだからね?」

「でも…………」

「思いっきり反抗してやれば?
ウチの母さん言ってたよ。『子供は大人に迷惑かけて育つもんだ』って。それで子供も親も成長してくんだってさ。」


これには返す言葉も出ない。
俺だって頑張ってるよ、と口ごもる道史に、Aは声音を変えずに言った。


「アンタだから言ってんだよ。他は興味無いから放っとくもん。」

「俺のことも『興味ないから放っとく』じゃ駄目なの?」

「そんなの私が聞きたい。
伊達に10年以上も幼なじみやってんだよ?嫌でも視界に入ってくんの。………………別に好きで気にかけてるわけじゃないからね」


これがツンデレってやつなのか。
素直になれない性格のAは、時々こうして早口になる時がある。そうするのはだいたい、道史に友人としての好意があることを隠している時だ。


「考えてみるよ」

「あっそ」

「お前から言っといてそれはないだろ」








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- ナッちゃんってあだ名読者が読みやすいようにこのあだ名も変換できたほうがいいと思います (2020年10月3日 3時) (レス) id: 9a687a3599 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 真夏の少年待ってました!めっちゃキャラいいですね!!那須くんとの絡みが少ないものが多かったので嬉しいです! (2020年8月7日 2時) (レス) id: 8da083b7de (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!真夏の少年書いてくれて嬉しいです!!私も落ちはひだか君がいいです!! (2020年8月1日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年8月1日 15時) (レス) id: 3c6e877405 (このIDを非表示/違反報告)
- 今日から始まりましたねオチは私的に飛貴くんがいいです (2020年8月1日 0時) (レス) id: 1c8b5a85be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だいふくリンゴ☆ | 作成日時:2020年7月29日 19時

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