第2話_その九 ページ23
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その日の夕方。
家に居ても暇なので、道史の家にアポ無しで乗り込んだ。
いつもは勉強道具は(一応)持って、特に何もすることなくゴロゴロするのだが、今日は違ったようだ。
「暇つぶしに俺ん家くんのやめてくれない?」
「暇つぶしじゃないし」
「…………珍しく勉強してんのは偉いけど」
そう、珍しくAが本を読んでいる。
しかも日本史の。Aが持ってきたリュックをちらりと覗いてみると、日本史だけでなく、世界史の教科書から、恐らく図書室で借りたであろう戦時中の事を記した本まで入っている。
「何、お前歴史苦手だっけ?」
「座学は基本得意分野」
「さらっとそんな事言えんのAぐらいだよ…」
「ちょっと今集中してるから喋りかけないで」
じゃあ帰れよ!と怒鳴ってやりたい気持ちを既のところで飲み込んで、変わり果てた幼なじみの姿を眺めていた。
「…………なんかあった?」
「タイムスリップって信じる?」
「とうとうおかしくなったのかよ!お前そういうオカルトちっくなの一切信じないタイプの人間だったじゃん!」
「うるさい」
「っごめん、」
Aが歴史やらタイムスリップやらについて調べている理由はただ一つ、クラスの訳分からんにわかヤンキー達とつるんでいるあの男の正体を探るためだ。
本人は昭和の時代から時空を超えてやって来た軍人だと言っているが、Aはもちろん信じなかった。が、彼を見ているうちに、もしかしたら…と少しずつ心境が変わっていったのだ。
このクソ暑い真夏日に食べるアイスは格別なのはAだって知っている。
だけど三平は、まるで生まれて初めて出会ったかのようにアイスを食べていた。それに、嘘については内容がきちんとしすぎている。
「………………本当にタイムトラベラーだった所でどうって訳じゃないんだけどね」
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ん - ナッちゃんってあだ名読者が読みやすいようにこのあだ名も変換できたほうがいいと思います (2020年10月3日 3時) (レス) id: 9a687a3599 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 真夏の少年待ってました!めっちゃキャラいいですね!!那須くんとの絡みが少ないものが多かったので嬉しいです! (2020年8月7日 2時) (レス) id: 8da083b7de (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!真夏の少年書いてくれて嬉しいです!!私も落ちはひだか君がいいです!! (2020年8月1日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年8月1日 15時) (レス) id: 3c6e877405 (このIDを非表示/違反報告)
姫 - 今日から始まりましたねオチは私的に飛貴くんがいいです (2020年8月1日 0時) (レス) id: 1c8b5a85be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいふくリンゴ☆ | 作成日時:2020年7月29日 19時