第0話_その二 ページ3
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「ナツメ姐さん!おはざっす!」
「……」
教室に入るなり目立つ金髪が駆け寄ってきた。
助けを求めてクラスメイトに視線を投げても、助けてくれるような人はいない。
まるで極道の女番長みたいだ。こういうのは好きじゃない。
「ねえこれ何とかしてよ」
「悟ー、ナッちゃん困ってるよ」
見かねた女生徒が笑いながら声をかけると、
「困ってんスか!」とまた大声を発しながらAに詰め寄る。
悟と呼ばれたその男子生徒。
瀬名悟。『見掛け倒しトリオ』と言われるダサヤンキー集団の1人。
以前にその集団にナンパされた時に睨みを効かせて退散させたらこのザマだ。勘弁してほしい。
「なんでリモートじゃないのよ今日」
わざわざ登校するのでさえ面倒くさい。
1番前の席について、首にかけたヘッドホンをリュックに詰め込んだ。
「A」
すると後ろから名前を呼ぶ声がした。
柴山道史。クラスでもトップクラスの成績で、この学校の生徒会長も務める真面目な生徒だ。
そしてAの幼なじみでもある。
「明日提出の会計資料、片付いた?」
「明日やればいいじゃん」
「そういう問題じゃなくて……」
「『明日やろうは馬鹿野郎』って?お父さんがよく言ってたなー。」
「話逸らしたって無駄」
「チッ」
ハイハイもう終わってますよー、と資料の入ったファイルを机に叩きつけた。
こう見えてAは(一応)優等生。
テストで学年トップを何度か経験した事のある彼女でも、評価が普通の生徒と変わらないのは生活態度が悪いからだ。頭が悪ければ退学か留年間違いなしである。
「クソ真面目に生きてたらつまんないよ柴山。
親に愛想尽かすのも限界なんでしょ?いい加減反抗したらどうなの」
「お前はもうちょっと真面目になれ」
「やだね」
目を閉じてぷいっとそっぽを向いた。
真面目にやったら勝手に期待されて苦しくて、
かといって不真面目になったら叩かれる。
『自由ってなんだろう』。そんな囁かな疑問は、時間とともに消えていった。
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第1話_前代未聞の大問題。飛び降り自殺とタイムスリップ→←第0話_プロローグ
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ん - ナッちゃんってあだ名読者が読みやすいようにこのあだ名も変換できたほうがいいと思います (2020年10月3日 3時) (レス) id: 9a687a3599 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 真夏の少年待ってました!めっちゃキャラいいですね!!那須くんとの絡みが少ないものが多かったので嬉しいです! (2020年8月7日 2時) (レス) id: 8da083b7de (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!真夏の少年書いてくれて嬉しいです!!私も落ちはひだか君がいいです!! (2020年8月1日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年8月1日 15時) (レス) id: 3c6e877405 (このIDを非表示/違反報告)
姫 - 今日から始まりましたねオチは私的に飛貴くんがいいです (2020年8月1日 0時) (レス) id: 1c8b5a85be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいふくリンゴ☆ | 作成日時:2020年7月29日 19時