真夏の少年~19452020~

第2話＿その五 ページ19

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｢ねえ、酔うんだけど｣

｢我儘言わず大人しくしてろ｣


篤のバイクの後ろに跨る。何故こうなったのだろう。

家まではだいぶ距離があるし水も牛乳もなくなったし今親いないと伝えた結果、こうだ。
篤曰く｢つべこべ言わず着いてこい｣らしいが。
怪しい人について行ってはいけないと教わったのに。……いや、彼はクラスメイトであって怪しい人ではないか。


｢降りて｣

｢気味悪｣

｢ごめん一発だけぶん殴っていい？｣


握り拳を震わせる篤。
そんな彼に連れられてやってきたのは何とも不気味な小屋だった。
バイクに揺られて目が覚めた子猫が怯えるのを宥めながら、1歩、また1歩と小屋に近づく。


────────キイイイッ、


｢よー篤、お前遅せぇよ………………ってえええ?!｣

｢姐さん?!｣

｢わ｣


ドアを開けた直後に聞こえてきた聞き馴染みのある声に、ぴくりと肩が跳ねる。
それとほぼ同時に子猫を隠していた。誰にも言うなと言ったハナからこれだ。へし折られたいのかこの男は、と思ったが、


｢たまたま帰り道で会ってさ。そこで猫見つけたから水入れてやってよ｣

｢え？｣

｢俺が触ったら牙剥かかれるから棗に着いてきて貰ったの｣

｢なァんだそうか！お前顔怖ぇから当然だわな｣

｢うるせ｣


バレたくねえんだろ、なら話合わせろ。と囁いてくる。見かけだけのヤンキーかと思っていたが、根は良い奴なのかもしれない。


｢…………ありがとう｣


そして今になってやっと、もう1人の人影に気づく。


｢誰？｣


この中の誰かの父親か何かだろうか。
明らかに同年代ではない男が、悟の隣に座っていた。









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