第2話_その四 ページ18
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「…………………棗?」
「!」
突然自分を呼ぶ声がして、慌てて振り返る。
そこには『見掛け倒しトリオ』でお馴染み、ダサヤンキー3人組のひとりである春日篤がいた。
「ここで何してるの?」
「いやそれこっちのセリフ。
なんか草っ原ん中ズカズカ入ってくから何事かと思って来てみれば…………」
「後つけてたわけ?」
「や、そういうつもりはなくて……」
頼むからその視線をやめて欲しい。
凍てつくようなその目で睨みつけられるのは2度目。竜二の提案で3人で(ほぼ強制)ナンパした時に初めて睨みつけられ、呆気なく退散した。
今思えば『見掛け倒しトリオ』なんてあだ名がついたのはそれからだった。
「猫好きなの?」
「別に」
「嘘つけ。じゃあ何でわざわざ牛乳とパン買ってんだよ」
「こ、これ私の。帰っておやつにしようかと……」
「苦しい言い訳」
もう言い逃れできないと察したのか、Aは諦めたようにため息をついて「誰にも言わないで」と俯いた。
「言ったらどうする?」
「へし折る」
「何を」
「足から腕からプライドから……折れるモノは片っ端からポッキリ」
「怖ぇよ」
「冗談じゃないから。特にあの放送部のツインテールなんかに知れ渡ったらどうなるか分かってるよね」
「すッ、すいませんでした………………」
これには篤も耐えきれず、大人しく頷いた。
Aは篤を見なかったことにして、ご飯タイムを終えた子猫を抱え上げた。
「それ、飼うの?」
「うん」
「家近所?」
「割と遠い」
「……水は」
「たった今この子が飲み干したとこ」
「…………今家に誰かいんの??」
「ウチ母子家庭だからね。仕事終わるまで親帰ってこない。」
Aと、その腕の中ですやすや寝ている子猫を交互に見た篤は、くいっと後ろを指さした。
「来れば」
「?」
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ん - ナッちゃんってあだ名読者が読みやすいようにこのあだ名も変換できたほうがいいと思います (2020年10月3日 3時) (レス) id: 9a687a3599 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 真夏の少年待ってました!めっちゃキャラいいですね!!那須くんとの絡みが少ないものが多かったので嬉しいです! (2020年8月7日 2時) (レス) id: 8da083b7de (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!真夏の少年書いてくれて嬉しいです!!私も落ちはひだか君がいいです!! (2020年8月1日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年8月1日 15時) (レス) id: 3c6e877405 (このIDを非表示/違反報告)
姫 - 今日から始まりましたねオチは私的に飛貴くんがいいです (2020年8月1日 0時) (レス) id: 1c8b5a85be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいふくリンゴ☆ | 作成日時:2020年7月29日 19時