第2話_その三 ページ17
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その日の放課後。
道史と帰る予定はパスして自転車を飛ばす。
「早くしなきゃ熱中症になっちゃう」
ぽそりとそう呟いて道の端に自転車を止め、Aは草藪の中に入って行った。
チクチクと葉っぱが肌を擽るけれど、今はそんな事気にしてる場合じゃない。
「……………良かったちゃんといた…………」
そこに居たのは、ダンボール箱の中で大人しく座る子猫だった。
見えるようになったばかりのまん丸い目をAに向けている。
実はAは登校中にこの猫を見つけた。
さすがに学校に連れて行くのは駄目だと思ったので、下校時間まで陰になる涼しい所に置いておいたのだ。
「熱かったでしょ、これ飲んでいいよ」
購買で売っていた食パンと牛乳を鞄から取り出す。きっと前の飼い主がエサを入れていたのであろう器に牛乳を注ぐと、物凄い勢いで飲み始めた。
「ふふ、そんな慌てなくてもいいのに」
生まれて間もない子猫だ。
ダンボール箱の中には毛布と、空のエサの容器が入っていた事から、飼い主はこの子が嫌いになって捨てたんじゃないと分かった。
飼えなくなる理由があったんだろう。でなきゃ人目に付く場所に捨てたりしない。
その綺麗な灰色の毛並みを撫でていると頬も緩んでくる。秘密の癒しタイムだ。
この事は家族以外の誰にも言ってはいない。あの道史ですら知らない事だ。
きっとこの先も誰にも知られることなく過ごせるぞ、と思ったも束の間、
「………………棗?」
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ん - ナッちゃんってあだ名読者が読みやすいようにこのあだ名も変換できたほうがいいと思います (2020年10月3日 3時) (レス) id: 9a687a3599 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 真夏の少年待ってました!めっちゃキャラいいですね!!那須くんとの絡みが少ないものが多かったので嬉しいです! (2020年8月7日 2時) (レス) id: 8da083b7de (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!真夏の少年書いてくれて嬉しいです!!私も落ちはひだか君がいいです!! (2020年8月1日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年8月1日 15時) (レス) id: 3c6e877405 (このIDを非表示/違反報告)
姫 - 今日から始まりましたねオチは私的に飛貴くんがいいです (2020年8月1日 0時) (レス) id: 1c8b5a85be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいふくリンゴ☆ | 作成日時:2020年7月29日 19時