第2話_その二 ページ16
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まだ昼だというのに眠そうなA。
隣を歩く道史と、後輩の1年生も苦笑いだ。
「棗先輩って、なんか自由奔放に見えてしっかりしてたり……何考えてるか分かんないミステリアスガールって感じですね!」
「何それ」
「要するにモテるって事ですよ!ね、柴山先輩。
正直言ってどうなんすか、棗先輩モテてましたよね?!」
「さぁね、どうだか」
「えー!」
Aは基本的に自分の話をされるのを嫌う。
そんな彼女の特性を分かっている道史は、それ以上何も言わない。だが後輩にとっては「Aはモテる」という風に受け取れたらしい。テンション爆上がりだ。
「あーっ!」
Aたちが購買部の前を通り過ぎた時、東村が2人を呼び止めた。
「生徒会長!……お、会計クンも居たか。丁度良かった」
「何か用ですか?」
ちょいちょい、と手招きしながら声をかけてくる東村に、道史は笑顔で対応する。
Aはというと、面倒くさそうにポケットに手を突っ込んだ。
「今回の財前の件だけど、生徒会もなんか動かんとマズいだろ」
「…………分かりました!
何かって、具体的に何したらいいですか」
「ンなこと自分たちで考えろ」
「…………………………丸投げかよ」
他の大人と違って口出しはしないから自由にやれと、一見は生徒を思うできる教師の発言っぽい。けど実際は"自由"という言葉を上手く使って仕事を生徒に丸投げしただけである。
Aが思わずという風に声を漏らすと、道史が何も言わず軽い肘打ちを見舞う。
「応援してるよ。自由は君たち若者の特権だからね!」
それだけ言って去っていく東村の背中を見送りながら、後輩は目をキラキラさせている。
「流石っす。期待されてますね」
「『自由にやってみろ』なんてさ、一見理解のある言い方だけど、Aも言った通り丸投げだよ。ガシムラの点数稼ぎのノルマが減っただけ」
「分かってんなら断りなよ」
「そういう訳にはいかないんだ」
眉を下げて言う道史。
長年隣で見守ってきたAからしてみれば、そういう所がもどかしくて仕方ない。
嫌なら嫌って言えばいいのに。そんなだから変な期待かけられて苦しい思いをするのに。
「嫌なことは嫌だってハッキリ言いなよマザコン」
「マザコンって言うな。
それに…………………、やっぱいい」
「嫌なこと嫌って言えないのはAもだろ」
一瞬出そうになったその言葉は、既の所で喉の奥に沈められた。
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ん - ナッちゃんってあだ名読者が読みやすいようにこのあだ名も変換できたほうがいいと思います (2020年10月3日 3時) (レス) id: 9a687a3599 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 真夏の少年待ってました!めっちゃキャラいいですね!!那須くんとの絡みが少ないものが多かったので嬉しいです! (2020年8月7日 2時) (レス) id: 8da083b7de (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!真夏の少年書いてくれて嬉しいです!!私も落ちはひだか君がいいです!! (2020年8月1日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年8月1日 15時) (レス) id: 3c6e877405 (このIDを非表示/違反報告)
姫 - 今日から始まりましたねオチは私的に飛貴くんがいいです (2020年8月1日 0時) (レス) id: 1c8b5a85be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいふくリンゴ☆ | 作成日時:2020年7月29日 19時