真夏の少年~19452020~

第1話＿その十 ページ13

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｢なんかどっと疲れが…………｣


家に帰って荷物を投げ捨てる。
財前の自 殺の原因が悟だったり、そんな悟が停学宣言を下されて目の前で帰って行ったり、奈津子がいきなり現れたり。

クーラーの涼しい風に前髪を揺らしながらホッと一息ついた頃、外からザァアという雨音が聞こえてきた。


｢やば｣


ベランダに出て洗濯物を慌てて取り込む。
中には既に濡れてしまった物もあり、乾燥機かけなきゃ、とまた肩が重くなった。


━━━━━━━ｺﾞﾛﾛﾛｯ､


遠くの空が光る。それから一瞬遅れて低い音が響いた。Aが生まれ育ったこの富室は日本一雷の落ちる町。雨が降るとすぐに雷が鳴り始めるのだ。


｢厄介だなぁほんと。｣


静まり返った家の中に雷と雨の降る音が聞こえてくる。そんな雷の音に怯える子犬たちの鳴き声もする。
そんな空模様と比例して、Aの心もだんだん曇り空に。


｢あれ………………？｣


スマホを開いて、ふと何かが頭に過った。

それは、今朝見た明菜の動画。


『一命は取り留めたものの、面会謝絶の模様です。以上、小泉明菜がお届けしました！』


追い討ちをかけるように、今度は教師の声が浮かぶ。


『3日前の体育の後だよ。財前本人が言ってんだ』


｢……面会謝絶なのに何で本人が言ったとか分かるの｣


もしかしたらこれは事件かもしれない。


一際大きな音を立てて落ちた雷の音を合図に、
歯車は回り出す──────









To continue…





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