真夏の少年~19452020~

第1話＿その九 ページ12

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｢道史がそんな事に巻き込まれたらって考えたら心配で。気づいたらここにいました。
でね、東村先生。道史をリモート専門の登校にして頂けませんか？｣


どんな時でも息子第一な奈津子は、道史を危険な目に遭わせまいとペラペラ話し出す。
そして不意に、竜二を指さした。


｢君！｣


突然指名された竜二の肩がぴくりと跳ねる。


｢悟くん…だっけ？悟くんに、言っときなさい。
道史にあんなことしたらぶっ殺すって｣


反論できない竜二は黙ってコクリと頷いた。
そして今度は篤を指さして、


｢あの子、あの子名前なんて言うの？｣

｢篤…………｣

｢篤！お前もな？｣


クラス中が静まり返る。奈津子は道史にだけは優しい目を向けた。


｢道史、大丈夫？……Aちゃん、この子のこと宜しくね？｣

｢はぁ、｣

｢あ、授業中に失礼しましたっ！｣


そして何事もなかったように去っていく。
暫くは凍りついていた教室だったが、こちらも何事もなかったように授業が再開した。


｢…………………何とかしてよ｣

｢俺に言うな｣

｢逆に君以外の誰に言えと？｣

｢前向いて授業聞く｣









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