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「兄ちゃん、白百合のみんなはさ、喧嘩の一回もしたことねえシャバいやつらばっかりだけど……みんないいヤツらなんだ。俺、アイツらといるのが楽しいんだよ」
いつかのわたしが、両親に本当のことを打ち明けた時。
恐ろしい事件に巻き込まれても、痛い目に遭っても、それでも一緒がいいと思える友達ができて。そんな友達と過ごす毎日が何よりも楽しいんだと言った時のように。難破くんは真っ直ぐな目で、猛さんを見つめ返した。
……そう思えば、境遇も、選択も、わたしと難破くんは何もかも真逆にみえるけど。でもどこか似ていて、だからこそこうして繋がった。縁っていうのは不思議なものだ。
「だから、俺にとっては……伍代と姉崎と大丸と同じ、大事なツレなんだ」
藤田さん、島崎くん、そしてクラスメイトの皆。ヤンキー一色だった難破くんの尖った心を溶かしていくような、そんな心の底から大切で、守りたいと思えるものに出会えたんだ。
その言葉にぐっと喉が詰まって、目の奥がじんわりと熱を持つ。
「兄ちゃん……俺は……！全国制覇よりも、白百合のみんなと卒業したい」
すれ違って、ぶつかって、拒絶して……離れていた兄弟の心が再び近づいた時、その絆は更に強固なものになる。難破くんが涙ぐみながら訴えかけると、猛さんは大きくゆっくりと、頷いて。握り拳を難破くんの胸に押し当てた。
「卒業、できるといいな」
柔らかい笑顔と共に滲みだしたのは、難破くんの気持ちを理解してくれて、受け入れてくれた猛さんの、本当の“兄”としての優しさ。その温もりに抑えきれなかった涙がぶわっと溢れて、泣き出した難破くんを宥めるように、猛さんは「帰って母ちゃんの美味いメシ食うべ」と先を促す。
「剛、お前の話もろくに聞かねえでよ……酷えこと言っちまってごめんな」
振り返った猛さんの瞳も涙で揺れていて、わたしも限界だった。潤んだ目から、ぽろぽろと涙が零れる。……もう、わたしこういうのダメなんだってば。
「……ほら、早く！」
「行けよ！」
猛さんが行ってしまっても、難破くんはその場に立ち尽くして泣いているので。早くしないと行っちゃいますよ、の意を込めて倉庫の外を指さすと、難破くんはぐっと頷いてから、駆け出した。
すれ違いざまに、直樹くんと大丸くんの肩を叩いて、わたしの頭を少し乱雑にかき撫でて。難破くんは戻っていく。
あの、暖かい家族が出迎える唯一無二の場所へ。
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リュウ - 続編楽しみに待ってます!! (12月19日 11時) (
レス) @page33 id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
mie - 本当に面白かったです！毎日更新を楽しみに、わくわくしながら最後まで読ませて頂きました！続編も楽しみにしています！応援しています◎ (12月19日 1時) (レス) @page33 id: b7654c3b50 (このIDを非表示/違反報告)
わーい(プロフ) - 初めまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！そして続編…とても楽しみにしていた作品なのですごく嬉しいです！無理せずお身体に気をつけてくださいね(><) (12月18日 13時) (レス) id: 5c007e6399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年12月4日 9時
