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「あと、ひとつ約束して。もう喧嘩はやめて。私、難破くんが傷つくとこもう見たくないよ」
大事なものを守るためとはいえ、大好きな人が暴力に手を染めて傷つくなんて、見てて気持ちいいものじゃない。その気持ちはわたしにも分かる。力強い声音で、きっぱりと言った藤田さんは一歩、難破くんに近づいて。彼の手を取り、その小指に華奢な自分の小指を絡めた。
「約束！」
約束する時は、指切りげんまん。まるで子供みたいに無邪気な笑顔を浮かべた藤田さん。難破くんは少し笑って、確かに頷いた。やだあ、なんか色々と不安がってたけどそんなことないじゃん。これ絶対藤田さんも難破くんのこと好きだよぅ。
ぶんぶんと大きく手を振った藤田さんが行ってしまうと、嬉しくなったわたしたちは、待ってましたとばかりに難破くんに駆け寄った。
「元気出たなぁ、難破ァ〜」
「いい感じじゃないですかあ」
「……あ？茶化してんのかお前ら」
「「いや？」」
最初は怖かった難破くんにも、今ではこんな冗談だって言える。
そんなわたしみたいに、白百合の人達も、彼と関わっていく上でその人となりを知って、味方になってくれたんだろうね。
「よかったな」
直樹くんも優しく笑って言う。とりあえずこれで一件落着……
「難破ァ！」
……と思ったら。
やっぱりどんないい場面にも、それに水を差すKY男はいるもので。いきなりの大声にびっくりして振り向くと、この前白百合にいたチンピラ…猛さんがグリとグラとか言ってた人たちの片割れが、部下をぞろぞろ連れてやって来ていた。
「お前の兄貴への礼がまだだ！お前ら兄弟はぜってー地獄に送ってやる」
いや、この前のあれで気は済んだんじゃなかったの。ボコボコにされたし、今日のが猛さんへのお礼なら、前のあれは一体何だったんですか。ヤンキーって難しい。
「逃げろ難破」
「もういいだろ」
キッと奴らを睨みつける難破くんに後ろを指せば、彼は申し訳なさそうに眉根を寄せるけれど。こんな状態の難破くんに喧嘩させるわけにはいかない。それにたった今、喧嘩しないって藤田さんと約束してたでしょ。何しに広辞苑持ち歩いてると思ってるんですか。
少し考えた難破くんは、「悪いな」と踵を返して走り出す。ヤンキーたちはそんな彼の後ろ姿に怒号を飛ばした。
「逃げてんじゃねえぞゴラァ！」
さて、かくいうわたしも喧嘩は嫌いだけど、親友のために一肌脱ぎますか。
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リュウ - 続編楽しみに待ってます!! (12月19日 11時) (
レス) @page33 id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
mie - 本当に面白かったです！毎日更新を楽しみに、わくわくしながら最後まで読ませて頂きました！続編も楽しみにしています！応援しています◎ (12月19日 1時) (レス) @page33 id: b7654c3b50 (このIDを非表示/違反報告)
わーい(プロフ) - 初めまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！そして続編…とても楽しみにしていた作品なのですごく嬉しいです！無理せずお身体に気をつけてくださいね(><) (12月18日 13時) (レス) id: 5c007e6399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年12月4日 9時
