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─────朝から雲行きの怪しかった空は、気づけば灰色の雲に包まれて。間もなく雨が降り始めた。
制服が雨に濡れてずっしりと重くなる。前髪から雨粒が滴って、頬にできた切り傷に染みた。
「難破……」
大丸くんが肩で息をしながら、ぽそりと彼の名前を呟く。わたしたちが唖然として見つめる先で、ボスの男と難破くんが激闘を繰り広げている。
ボスの男はなかなかの強者のようで、ただでさえ満身創痍の難破くんが押され続けている。その光景に震える手は目を塞ごうとするのに、何故か身体は動かなかった。
「来いやァ！汚ねえ足でよォ、踏み荒らしやがって！！」
血と涙と雨水でべしゃべしゃになった顔を歪めて、難破くんは我武者羅に突っ込んだ。声を荒らげて蹴りを放てば、まともに食らったボス男がよろめいた隙に連打を叩き込む。ボス男は口に溜まった血を吐いて、難破くんを殴り飛ばした。
「お前イイなぁ……！俺の下につくかァ？！」
「……うらぁああああっ！！」
わたしたちだけじゃなく、気づけばみんなが目の前の戦いを、固唾を飲んで見守っていた。白百合の生徒からは「会長頑張れ」「特服頑張れ」なんて声も聞こえてきて。難破くんが、名前も知らないような下級生たちからも慕われていたんだと分かる。……そんな彼が、どうしてこんな理不尽に追い詰められなくちゃいけないの。
「俺の……俺の大事な場所を踏み荒らして！ぐちゃぐちゃにした…！！」
白百合のこと、藤田さんや島崎くんのことを話す難破くんはいつも楽しそうだった。ヤンキーとして育った十数年をひっくり返すくらい、彼にとって“普通の青春”は輝いて見えてたんだと思う。そんな眩しい世界に一生懸命手を伸ばして、大切なものを守るために力を奮ってきたのに。
そんな切なる想いは、残酷に踏み躙られてしまった。
「君！止まりなさい！！」
しばらくすると、誰かが通報したのか、何台ものパトカーが停まって。降りてきた警官たちが、ボス男に馬乗りになって殴り掛かる難破くんを引き剥がそうと飛びついてきた。
きっとこの状況は、何も知らない人達からすると、難破くんが悪者に見えているんだろう。
それが嫌で、どうにかして警官をどかそうとするけれど、更に駆けつけた警官たちにわたしたちまで取り押さえられて。
───今までとは違う。第三者の手によって、強引に事態は収束させられた。
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リュウ - 続編楽しみに待ってます!! (12月19日 11時) (
レス) @page33 id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
mie - 本当に面白かったです！毎日更新を楽しみに、わくわくしながら最後まで読ませて頂きました！続編も楽しみにしています！応援しています◎ (12月19日 1時) (レス) @page33 id: b7654c3b50 (このIDを非表示/違反報告)
わーい(プロフ) - 初めまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！そして続編…とても楽しみにしていた作品なのですごく嬉しいです！無理せずお身体に気をつけてくださいね(><) (12月18日 13時) (レス) id: 5c007e6399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年12月4日 9時
