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色とりどりの火花が散る。真夏といえど夜は幾らか涼しくて、わたしは羽織ったカーディガンをくいと引き寄せた。
「なあ、これ一気に火付けたらどうなんだ？」
「バカかお前」
「やんならひとりでやれよ」
映画鑑賞会を経て、大丸くんによる当初の宣言通り、わたしたちはコンビニで買った手持ち花火を広げていた。
ごっそり取り出してきた花火をまとめて見つめる大丸くんのトンデモ発言を一掃するふたりを横目に、控えめに爆ぜる線香花火に目をやる。
「姉崎よぉ、さっきからそればっかじゃん。もっと派手なやつやろうぜ」
「線香花火が好きなんです」
「そうなのか？」
小さい頃からそうだったと思い出す。誰が最初に火を落とすか勝負をしたら、わたしは負け無しだった。それが嬉しくて、こうして花火をする時に手にするのはいつも線香花火だ。
そんなささやかな思い出に耽っていると、こちらもしんみりとした顔の難破くんが、ぽつりと呟いた。
「なーんか……懐かしいわ」
パチパチと弾けた暖色の光が、難破くんを優しく照らす。その表情は楽しかった思い出を懐かしむように見える反面、どこか寂しそうでもあって。
難破くんが語ったのは、遠い昔の記憶。かつて猛さんと花火大会に行った時、ごった返す人混みの中で彼に肩車をしてもらったのだと。
「兄ちゃんにあんな顔させるつもりじゃなかったのによ……」
猛さんは相変わらず、難破くんが白百合に通うことを認めようとしていない。ろくに話すら聞こうとせず突っぱねたから、絆は崩れてしまった。……でも、ふたりが兄弟であることは紛れもない真実で、それはこれまでもこれからも変えられない。
ふとした時に優しいお兄ちゃんの笑顔を思い出すたび、心が痛むだろう。このままじゃいけないと、彼がいちばん分かってると思う。
「大丈夫だって！いつか話せる日は来るから！」
豪快に笑った大丸くんが、難破くんの背中を強めに叩く。その傍らで、控えめに笑った直樹くんも静かに頷いている。
猛さんは今でこそ現実を受け入れられずにあんな態度をとっているけど、兄として、わたしたち以上に難破くんのこと知ってるんだから。
冷静になって、難破くんが好きで家族を騙すなんて愚かな真似しないって分かったら、きっと向き合ってくれるはず。
それまでわたしは……いや、わたしたちは陰ながら彼を支え続けるつもりでいた。だって、親友だからね。
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リュウ - 続編楽しみに待ってます!! (12月19日 11時) (
レス) @page33 id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
mie - 本当に面白かったです！毎日更新を楽しみに、わくわくしながら最後まで読ませて頂きました！続編も楽しみにしています！応援しています◎ (12月19日 1時) (レス) @page33 id: b7654c3b50 (このIDを非表示/違反報告)
わーい(プロフ) - 初めまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！そして続編…とても楽しみにしていた作品なのですごく嬉しいです！無理せずお身体に気をつけてくださいね(><) (12月18日 13時) (レス) id: 5c007e6399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年12月4日 9時
