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わたしと大丸くんが悩みに悩んで(5分弱)、難破くんを笑顔にさせる策を考えた。その結果、難破くんの好きなことをやろう！という発想に至って、今日は鉛筆とスケッチブックを持ってきたのです。
モデルの松をみんなで囲んで、思い思いの姿を画用紙に描いていく。
「……ははっ、お前幼稚園児かよ。どうやったらそうなんだよ」
直樹くんの笑い声に、ふと顔を上げて、大丸くんのスケッチブックを覗き込む。そこに描かれた松はなんというか、文字通り『幼稚園児みたいな絵』だ。小さい子特有の、頭がでっかくて目がまん丸で全体的に雑な感じの。でもなんだか、大丸くんらしいとも思った。
「普通に描いたらこうなったんだよ！」
「見ろ、松凹んでるぞ」
「松……！ごめんな松、ごめんよぉ……」
しゅん、と分かりやすく項垂れた松に、こちらも眉を下げた大丸くんが両手を合わせて誤っている。
これはかなりダメージ受けちゃったみたいだし、ご機嫌取りに後でジャーキーかなにかあげないとだね。なんて思いながらスケッチブックに向き直ると、横から「ほーん」と声がした。
「なんつうか、普通」
「可もなく不可もなく」
「でも普通がいちばんだよな」
「あの、言いたいことないなら無理してコメントしなくていいんですよ……」
勝手にわたしのスケッチブックを盗み見た大丸くんと直樹くんがそう言って、うんうん、と頷きあっている。わたしのは上手くもなく下手でもなく、これは何かと聞かれたら犬だってわかるくらいの、特にこれといった特徴もない無個性な絵。すいませんね、普通で。
そう思うと途端に恥ずかしくなって、描いてる途中のスケッチブックを抱きしめるように隠して、ちらりと横の難破くんを見やる。
「わ……！」
「難破ぁ、お前やっぱ上手えよ」
「……松とは小学生の頃から一緒だしな」
なんていうか、上手い人は鉛筆持つフォームから違うんだよね。
画用紙いっぱいに広がる松の笑顔と、心做しか柔らかい難破くんの表情に、こっちまでつられて頬が緩んだ。やっぱり、絵を描いてる時の難破くんは活き活きしてる。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月26日 11時
