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心の赴くまま、小学生並みの罵倒をありったけの大声で飛ばした。
悔しいのとムカつくのを包み隠さず全部吐き捨てたわたしは、マラソンでも走ったのかってくらい疲れていて、ゼェゼェと肩で息をする。
……けれど、わたしの一言が火に油を注ぐことになってしまったようだ。
「……兄ちゃん！！」
難破くんの声に、ハッとする。目の前の猛さんが、わたしの胸ぐらを掴む方とは反対の拳を握りしめていて、彼が叫んでいなければ殴られていたと思うと冷静になって、ゾッとした。
難破くんが血を吐きながら起き上がると、わたしから手を離した猛さんは、ゆっくりと彼に近づいていく。
「コイツらは関係ねえだろ」
「ああ。関係ねえからぶん殴ってやったんだよ」
叩きつけられた背中が痛い。腰が抜けてへろへろとその場に座り込んだ。号泣しながら駆けつけた吟子ちゃんに抱きしめられて。彼女の腕の中で、ギロリと猛さんを睨め付ける難破くんが見えた。
「お前のそーゆーツラ久しぶりに見んな。いい目してんべ。
……おう、かかってこいや」
「俺の大事なツレ、殴ってんじゃねえよ！！」
こちらも泣きそうな顔をした難破くんが、半狂乱になりながら猛さんを殴りつけた。その猛攻を一身に受け続ける猛さんは、やり返さない。
「誰が強えとか弱えとかよ！！興味ねえんだよ！！俺は兄ちゃんとは違えんだよ！！」
「うらぁぁあ！！！」
今まで抑え込んできた蓋が弾け飛んでしまった。難破くんが血と涙でべしゃべしゃの顔を歪めて想いをぶちまけると、キッと顔を上げた猛さんが、彼を殴り飛ばした。
「俺だって……ずっと言いたかったけど…！言えねえよ！！」
もしも中学3年生の頃に打ち明けていたら……。話そうとする難破くんの顔に、トドメの一発が沈む。
ふらりと後ろによろめいた難破くんは膝を折って、その場に崩れ落ちた。起き上がれずに座り込んだままの難破くんが「兄ちゃん聞いてくれたのかよ……」と弱々しく呟くと、猛さんはそんな彼を見下ろして、言った。
「……言いてえことがあんなら、家族みんなの前で言え」
─────高校3年生、夏。
築き上げてきた平穏は崩れ去って。
……そして、新たな混沌が幕を開けることになる。
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リュウ - 毎日更新ありがとうございます。毎日チェックしてます！これからも更新お願いします！ (11月28日 2時) (
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月26日 11時
