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というわけで。大丸くんにも協力してもらって難破くんたちを捜した。でも、なかなか見つからない。
その道中、松の散歩中の吟子ちゃんにも遭遇したので、彼女にも事情を説明した。初めこそは目を見開いて驚いていたけど、ふたりが行きそうな場所を教えてくれて、一緒になって捜してくれた。
……そして。
「2年半も家族騙しといてよォ！オイ！！」
吟子ちゃんに教えてもらった『昔ふたりが殴りあって兄ちゃんがボコボコにされた所』とかいう恐ろしい思い出の場所へ出向くと、近づくにつれて聞こえてくる怒号となにかが崩れる音が聞こえてくる。
現場に飛び込むと、もう悲劇は始まってしまっていた。
喧嘩…というより一方的に難破くんが殴られている。そこに真っ先に入って行ったのは、大丸くん。
「猛さん！」
「離せやコラ！」
よろめく難破くんに掴みかかろうとする猛さんを、大丸くんが持ち前の馬鹿力で止めている隙に、倒れた難破くんに直樹くんが駆け寄った。少し遅れて飛び込んだわたしと吟子ちゃんは、ただただ目の前の惨劇に息を飲んだ。
「伍代、そこどけ」
今は一線を退いているとはいえ、かつて関東を制覇したその腕前は伊達じゃない。猛さんは大丸くんを一発で沈めてみせると、今度は難破くんを庇って立つ直樹くんに近づいていく。
「……嫌だ」
「どけ！」
「…どかねえ！難破の話、聞いてやってもいいだろ！」
「関係ねえやつが首突っ込んでんじゃねえよ」
「伍代、これはうちの……」
「……関係あんだろ！！」
柄にもなく大きく張り上げた直樹くんの声に、びりびりと緊張感が走った。同時に、心の中で何かが弾けたように、視界が歪んでいく。堪えきれなくなった吟子ちゃんが声を上げて泣き出すのを宥めながら、わたしも涙目になって、彼らを見ていた。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月26日 11時
