帰らせて下さい、切実に。IV【ナンバMG5】 (ページ5)

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吟子ちゃんと弥生ちゃん。ここに来て二重生活を意図せず阻むカードが2枚も揃ってしまったわけだ。

今まで2年弱、難破くんはすごく頑張ってきたから。最後まで上手いことバレずに終わらせてあげたいとも思うけど。現実ってそんなに甘くないよねー。

「そういやお前、いつ牧野と知り合ったんだよ」

そこで、少し前を歩いていた直樹くんがくるりと振り返って聞いてきた。わたしは何も考えず口を開く。

「桃花……横浜の友達の家行った時です。変な人に絡まれたのを助けてくれて」

「………………道聞かれたんじゃなかったのか」

「今日は天気がいいですね」

「わざとらしいんだよ誤魔化し方が」

……そうだった。なにせ1年近く前の話だから、咄嗟に電話切った言い訳してたの忘れてた。このタイミングでわたしの嘘も露呈してしまったわけですね。なんて縁起の悪い。

じいっと見つめてくる直樹くんから全力で視線を逸らしながら、話題を変える一手を探す。……あ、そうだ。

「そう言う直樹くんこそイケメン先生ってどういうことですか」

「あれは向こうの勘違いだ」

「ほんとですか……？」

これは後に聞いた話だけど、弥生ちゃんを助けるために難破くんと直樹くんが横浜に乗り込んで加納一派を成敗したらしく。魔苦須メンバーのひとりが彼に「イケメン先生も顔だけじゃないよね」と言ったのがきっかけなんだって。難破くん曰く、そう言われて満更でもない顔してたそうですこの人。ちきしょ。

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