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逃げたい気持ちを押し殺して、掴みかかってくる男たちの攻撃を死ぬ気で避ける。相手の勢いを使って上手く体制を崩させたところを鞄で思いっきり頭をぶん殴ると、男は頭を抱えて叫びながらのたうち回った。
すごいね広辞苑。盾にも矛にもなるし。なおかつ頭の悪い不良の皆さんは絶対に持ってないような唯一無二で最強の武器だと思いますハイ。
……しかし、1年ちょっと合気道を齧っただけのわたしなんて、現役バリバリの人達に比べたら大したことない小バエにすぎない。
善戦していたのは最初の一瞬だけで、数分も経てば形成は一気に逆転した。
「死ねや！」
「！」
どすっ、と重めの一撃が鳩尾に沈んで、胃の中のもの全部がせり上ってくるのを堪えた。
……いや痛すぎィ！！
足に広辞苑落とした痛みなんて比にならないくらい痛い。誰もいなかったら声出して泣いてるってくらいの痛みに、思わずぎゅっと目を瞑る。頭では立たなきゃいけないって分かってるのに、まるで地面に縫い付けられたように身体が動かない。
動きが止まったのをいいことに、わらわらと集まってきた安藤の取り巻きたちがわたしを囲み、蹲る背中を何度も何度も蹴りつけてくる。「Aちゃん！」と叫ぶ水野さんの悲鳴に近い泣き声が、遠く聞こえた。
「オイ、あんま顔は傷つけたんなや。………その女、なかなかいい商売できそうじゃ」
取り巻きたちからのリンチに遭うわたしたちを、他人事のようなテンションで見物していた安藤が、クックッと喉元で低い笑みを転がして言った。
もはや起き上がることすらままならず、地面に伏すだけのわたしを見下ろす悪趣味なニヤケ面をキッと睨め付けると、「ええ顔するやないの」と髪を鷲掴みにされる。ただでさえ乾いてないのに掴んだら抜けるし傷むでしょうが！！
「そんなに借金どないかしたいんなら、友美と一緒に身体売りゃあ少しは足しになるんやないか？仕事なら紹介すんで」
「……んなことさせるわけねえだろクソが！！」
「チッ、ワシゃあ野郎のツラに興味はないんじゃ」
声を荒げた直樹くんが取り巻きのひとりを蹴り飛ばすけど、まるで排水溝に溜まる水の如く、瞬く間に屈強な男たちが彼の周りを取り囲んだ。
口の中が切れたのか、鈍い鉄の味が広がる。初撃でやられた左腕の傷が開いて、流れる血の量がどんどん増える。……これは、ヤバい。
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リュウ - 毎日更新ありがとうございます。毎日チェックしてます！これからも更新お願いします！ (11月28日 2時) (
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月26日 11時
