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「大丸！」
「……引っ込んでろ！俺が勝たねえと700万はチャラになんねえんだよ！」
「寝ぼけてんじゃねぇよバカ！そんなんじゃ勝てねえよ！」
よろよろと覚束ない足取りで起き上がる大丸くんは、まだ勝てば約束をのんでもらえると思っているのだろう。だけど相手は根っこまで腐った卑怯者だ。何度も言うけど、ここで勝ったところで解決なんてしない。
「友美にええとこ見してから一発やったろうと思うとったんじゃろうが。人のモンに手ェ出すけえ、こがぁな目に遭うんじゃ。奇跡的にワシに勝っても、ハナっから借金チャラにする気なんかありゃせんで？」
殴りかかってくる大丸くんに膝蹴りを決めた安藤はその隙に後ろに回って首を絞め上げ、その姿を怯える水野さんの眼前に晒す。彼女から引き剥がされ、何回りも大きな男に押さえつけられるわたしじゃ助けに行けなくて、せめて彼女の盾にすらなれないのかと悔しくなった。
「……ッ、どけや！」
直後、男たちを押しのけた直樹くんが、安藤の頭を蹴り飛ばした。拘束が緩んで崩れ落ちた大丸くんに水野さんが駆け寄る。「大ちゃん…」と彼を呼ぶその声はひどく震えて、この数分でどれだけのトラウマを植えられたんだろうと心が痛んだ。あとあの、わたしのことも誰か助けてください。
「安藤くん！そろそろオジキとの会合の時間じゃ」
肩をぐるりと回した安藤が、今度は直樹くんの方へと向かった時。
タイミングよく飛び込んできた下っ端のひとりが言うと、チッと舌打ちをした安藤はつま先の向きを変え、幸男さんに向き直った。
「幸男くん、車回してこい」
「……！」
「なんじゃその目。はよ行け」
幸男さんの、洗脳に近い方法で安藤に寄せていた信頼はもう剥がれ落ちている。これ以上言うことは聞くまいと安藤を睨め付けるけど、それよりも鋭い眼差しで見下ろされて。幸男さんは悔しそうに拳を握りしめると、走り去って行った。
「…………オイ、まだ終わってねえだろ。逃げんのかよクソ坊主」
わたしたちを囲んでいた取り巻きを引き連れ、安藤が店を後にしようとすると、傷だらけの直樹くんが、その後ろ姿に吠えた。面倒くさそうに振り返った安藤は、心底興味がないとばかりに吐き捨てる。
「ワシはお前らみたいに暇じゃないんじゃ。そがぁに死にたいんやったら明日また9時に来いや」
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リュウ - 毎日更新ありがとうございます。毎日チェックしてます！これからも更新お願いします！ (11月28日 2時) (
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月26日 11時
