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難破兄妹が同じ学校に通うことになった。
今はなんとかバレずに済んでるみたいだけど。
吟子ちゃん、ちゃらんぽらんに見えて鋭いから、ちょっとでも勘づかれたら終わりだ。
そして翌日の放課後。
忘れたスマホを取りに戻ってから、校門前で待ってる直樹くんの元へ向かった時。事件は起きた。
「お願いだよイケメン先生！」
「……もういいって」
「なぁ兄ちゃん出せよ〜」
何やら直樹くんがふたりの女の子に囲まれている。片方は吟子ちゃんで、もう片方は、黒髪で背の高い、後ろ姿だけでも可愛いって分かるような子だ。直樹くんはカッコイイから女の子にモテるのは仕方ないと思うけど。けど……。
(イケメン先生ってなに？！)
何故か直樹くんを『イケメン先生』と呼び、腕を掴んでぶんぶんと振る女の子。その瞬間、わたしの頭に最悪の予感が浮かんだ。
気づけばわたしは走り出して、直樹くんにべったりくっつく女の子を全力で引き剥がした。
「……だ、ダメっ！」
そこからそこまでの距離とはいえ、久しぶりの全力疾走で息が上がった。
女の子の肩を少し強めにぐいと押して、ふたりの間に割って入る。ゼェゼェと息を切らしながら顔を上げると、その子とばっちり目が合った。…………あれっ？
「A先輩？！」
「え、弥生ちゃん？」
そこにいたのは、かつて横浜で知り合った、レディースチーム横浜魔苦須の総長、牧野弥生ちゃん。でもあの時とは少し…いや、かなり様子が違う。
真っ赤な特攻服姿だったはずが、今日は白百合の女子の制服を着ている。そういえばわたしが市松に通ってると話した時、「千葉のヤンキー校」と驚いていた。横浜の人達が千葉の市松について詳しいわけないし。今となってはそれが伏線だったのかと思うけど。
……でも、なんで？
「弥生ちゃん、なんで千葉に？確か横浜の、」
「わーーーーーーっ！！！！な、なんでもない！それよりA先輩、私、特服先生に会いたいの」
「えっ、特服先生ってもしかして難」
「わぁぁぁぁぁぁぁあっ！！Aお前、ちょっと黙ってろ」
「え、え、？！」
頭の中に？がいっぱい浮かんで、まともな思考が働かない。
弥生ちゃんが白百合に通ってるんだとして、それは何で？レディースはどうしたの？なんて、聞きたいことは山ほどあったのに。それは尽くふたりの大声に掻き消されて。更に混乱していると、ぐいと肩を引かれて離れたところに連れていかれた。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月26日 11時
