帰らせて下さい、切実に。IV【ナンバMG5】 (ページ1)

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#いつもどんな時も、彼らは兄妹ページ1

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とうとうやってきた新年度。

わたしたちは高校3年生になって、市松にはまた新たに登場した不良たち(新入生)が溢れていた。それにはもう慣れたとして。空は晴れ晴れ、桜は満開。完璧なロケーションにも関わらず、わたしの気持ちは沈んでいた。

「ホントに生徒会長んなっちまったか」

「くぁwせdrftgyふじこlp…………」

「大丈夫か」

「だいじょびません……」

何故かわたしがプレッシャーを感じて、キリキリと胃が痛む。ぶつぶつぼやいて丸めた背中を、隣に立った直樹くんがぽんぽんと撫でてくれるけどまるで効果はない。嫌な想像をすればするほど胃痛は酷くなって、鞄の中の胃薬に手を伸ばす。朝も飲んだし用法用量は守るべきだと思いますけども、仕方ないよね。

向こうの方で、「胃ぃ痛え時は手首のツボ押すといいぜー！」なんて呑気な大丸くんが、バスケットボールをゴールにぶん投げる。わたしも直樹くんも、彼が勝手に市松に来ていることには何も言わなくなっていた。

「大変なのはこれからだ。出張ってくるやつをぶん殴ればぶん殴るほど、アイツの評判は上がる。評判聞いたバカがまたアイツを狙う……」

「悪循環ですね……」

「それに生徒会長なんかやってみろ。アイツ、ヤクザと警察をひとりでやってるようなもんだ」

ヤクザと警察。物騒だけど言い得て妙だ。そして問題は、それだけでは留まらない。

「しかも妹も入学したし……難破大丈夫かなぁ」

……そう。なんと吟子ちゃんが、見事白百合に合格してしまったのです。ずっと応援してきた身としては、彼女が志望校に受かったことは嬉しい限りだけど。その反面、なんか複雑で。朝から『今日からあたし白百合だよ！市松の向かいだからいつでも会えるね！』なんてLINEが来てたのも、今日はまるで笑えなかった。

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