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殴ることもできず、勢いよく突き飛ばされたAは、ふらりとよろめくも踏みとどまり、「何するんよ」と真依を睨め上げる。が、そこには、悲しそうに揺れる瞳があった。
「何でアンタなのよ!」
「?!」
今にも泣き出しそうな目をした真依は、Aの肩を掴んだ手に力を込めて叫んだ。
「階級もつけられないくらい雑魚で弱虫のお嬢様だったくせに!それなのに半年で準2級、それから1年と経たずに準1級ですって?ふざけんじゃないわよ!」
悲しみを思いのままにぶちまける真依の姿に、Aは何も言い返せなくなった。その心の中で轟々と燃えている思いはAの強さへの妬みか、恨みか。
……いや、どれも違う。そうAは断言できた。
「なんでそんなに頑張ったのよ!可愛い可愛い家のお人形さんでいる事の何が不自由だったの?!どうして呪術師なんて目指したの!」
「そ、れは………………」
「アンタがいなきゃ真希は……真希はッ…………」
「!」
真依は、ずっとずっと寂しかったのだ。傍にいてくれると言った姉が日に日に遠い存在になってしまうこと、そして、そんな真希の隣にはいつもAがいること。妬んでいるのは、Aの実力なんかじゃなかった。
───────“どうして私をほったらかして、そんなやつと一緒にいるの。”
きっとそれは、Aの実力と努力を認めたから。
Aがどれだけ苦労して今の強さを手に入れたかは真依だって理解している。自分じゃ太刀打ちできない相手だということも。……だからこそ、悔しかったのだ。
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月26日 12時