帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ7)

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そして、金髪はまさかのひとりでほぼ全員制圧。最後に伍代くんがボスの人をぶん殴って、恐れを成した先輩たちはしっぽ巻いて逃げて行った。

一緒に見ていた柴犬ちゃんはブンブンと尻尾を振って、どこか誇らしげな顔をしている。もしかしてこの子、喧嘩が好きなのかな？飼い主さんが不良もののドラマとか好きだったりしてさ。ビーバップハイスクール的な。

「す、すごいもん見ちゃった……」

やっぱり、河川敷で喧嘩して男の友情が芽生えるのはテンプレなのかな。敵同士だったはずの金髪と伍代くんの間には、喧嘩相手とかじゃない、どこか穏やかな空気が流れている。

平和解決かどうかはわかんないけど、まぁ事態は無事に収まったことだし、わたしもさっさとズラかろう。なんて、そんなことを思いながら、足元にいるであろう柴犬ちゃんに目をやった。その時。

「ワンッ、ワン！！」

「あっちょ、！」

今度こそこの子を家に帰すんだと思ったもつかの間、柴犬ちゃんは何かに弾かれたように茂みから飛び出した。ぎょっとして追いかけるわたしを置き去りに、ぐんぐんスピードをあげて、金髪の方へ真っ直ぐ走っていく。

「！！！！」

陰キャの身体能力(スポーツテスト毎年E)を舐めないで頂きたい。

今回のことも見なかったことにして、誰にも気づかれずにドロンしようと思ってたのに。そんなわたしの声にならない叫び声も虚しく、金髪は足元に駆け寄ってきた柴犬ちゃんを見て、ぱっと目を輝かせた。

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